

所在地 | 埼玉県入間市 |
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延べ床面積 | 7642m2 |
稼働開始時期 | 2018年12月 |
生産品目 | サーボモーター、サーボアンプ |
生産能力 | 月産10万台、約1000種類 スマート工場のモデルとしての役割も担う |
2018年12月に本格稼働を開始した安川電機の新工場「安川ソリューションファクトリ」。IoT(Internet of Things)や人工知能(AI)、産業用ロボット、自動搬送車(AGV)などの最新技術を活用し、「見える化・データ活用」と「自動化・省力化」を徹底して生産効率の向上を追求した工場だ*1。
*1 主力製品「Σ-7」シリーズを製造する一方、次世代スマート工場のモデルとして同社製の機器やソフトウエアの活用を訴求する役割も担う。同社は「視える化」をあえて使っているが本稿では一般的な表記にした。
その結果、例えばサーボアンプの生産タクトタイムは90秒から30秒と3分の1に、製品の納期(製造リードタイム)は1週間から1日以内と6分の1に短縮。同ラインの作業者数も従来なら300人必要だったところを100人まで減らした。さらに最少ロット1台からという変種変量生産にも対応する*2。
*2 扱う製品の種類は約1000種類(モーターとアンプそれぞれおよそ400種類と600種類)と多い。
工場を見渡せるコックピットルーム
2階には同工場を象徴する存在とも言える部屋「統合司令室」がある(図1)。室内には8枚の大型モニターが設置され、工場内の各種生産設備の稼働データや生産実績などあらゆる情報がリアルタイムで集約され、レイアウト図の上に表示されたり、グラフになって映し出されたりする(図2)*3。
*3 統合司令室のモニターに表示される画面は、工場長や現場管理者のパソコンからも閲覧できる。
司令室に詰めている監視員は、工場の生産進捗を常に見守っている。現場で異常が起きると、レイアウト図の該当箇所が赤色に変わって警告を発する。トラブル対応のために担当者を素早くラインに急行させられる。
監視員らが操業モニターやオーダー管理画面を見ながら司令室内で議論するのは、ここでは日常的な光景だ。工場長の白石聡氏(モーションコントロール事業部モーションコントロール工場)も毎日、司令室に立ち寄ってその日の様子を確認している。
安川電機が工場内に統合司令室を設置するのは初めて。工場内のあらゆる情報を一元管理するコックピットルームという発想は、何十年も前からあったが、なかなか形にできなかった。必要なデータを集められなかったからだ。これがIoTの普及でようやく現実になってきた。背景には収集データの充実がある。 「これまでも生産実績などは収集していたが、集めるデータの種類や粒度の桁が違う」(白石氏)。