
所在地 | 岐阜県土岐市 |
---|---|
延べ床面積 | 5820m2 |
稼働開始時期 | 2017年10月 |
生産品目 | パンチング金型 |
生産能力 | 3万本/月 |
生産ラインの直接作業者を従来の1/3にまで減らし、生産能力1.5倍・1人当たり生産高4倍を実現した工場がある。板金を打ち抜き加工するタレットパンチプレス(タレパン)用のパンチング金型を生産するアマダ土岐事業所の「T876工場」だ*1。産業用ロボットや自動化セル、自動倉庫などによる徹底した自動化と、IoT(Internet of Things)による設備監視などを駆使している。
*1 T876工場の事業主体は、アマダツールプレシジョン(本社神奈川県伊勢原市)。
365日×24時間止まらない工場目指す
T876の「T」は「土岐」と「ツール(工具)」を意味し、「876」は、同工場が目指す365日×24時間=8760時間止まらない工場を目指すとの意で名付けた。かつてはアマダの伊勢原事業所(神奈川県伊勢原市)にあった生産機能を移管し、2017年10月に稼働を開始した。
パンチング金型はパンチ・ダイ・ガイドに「スプリング」を組み合わせ、ガイドに挿入したパンチとダイで鋼板を打ち抜いて穴を開けるツールだ。そのうち同工場で生産するのは、小径(1/2インチおよび1-1/4インチ)の標準品の「パンチ」と「ダイ」、「ガイド」である(図1)。
しかも、同工場で生産するパンチ・ダイ・ガイドは形状や材質の違いで全128種類もある。その上、これに顧客が指定する刃先寸法を組み合わせるとバリエーションは10万種を超える。この多種多様な金型部品を、顧客の求めに応じて短納期で製造・納入するために、生産効率向上と短納期を実現すべくT876工場で挑んだのが、冒頭に述べた徹底した自動化とIoT化、ワークのトレーサビリティー管理というわけだ。
製造工程はパンチ、ダイ、ガイドのいずれも、荒加工を行う「前工程」、熱処理と半成り品(刃先を仕上げる前の状態)までの中仕上げを行う「半成り工程」、刃先を仕上げる「完成工程」の3工程に大きく分かれる。T876工場内は、それぞれの生産ラインを平行に配置したレイアウトとなっている(図2)。
「従来の人の作業を徹底して自動化した」。アマダ上席執行役員土岐事業所長の伊東正人氏はこう語る。主な自動化設備だけでも工作機械39台、産業用ロボット45台、AGV(自動搬送機)3台、自動倉庫4台(4400棚)に上る。工作機械や検査装置への投入・排出、コンテナやパレットへの積載・取り出し、設備間の搬送といったワークの移動は、産業用ロボットやガントリーローダー、ローラコンベアなどで全て自動化されている。