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「量産設計における設計力とは、不具合を出さない図面を作製できる人と組織の総合力だ」。ワールドテック 代表取締役の寺倉修氏はこう話す。「日経クロステックラーニング」で「世界No.1製品に必要な量産設計段階の設計力」の講師を務める同氏に、不具合を出さない設計を実現するためのポイントを聞いた。(聞き手は高市清治)

製造業の信頼性回復の必要性を訴える声が高まっています。

寺倉 修 氏
寺倉 修 氏
ワールドテック 代表取締役

寺倉氏:製造業の信頼性回復、つまり徹底した品質管理によって不具合を出さない体制作りには、何より設計力の見直しが必要です。

 製造業における品質というと、一般的には現場力ばかりに注目する傾向があるようです。昨今、特に新聞やテレビなどのメディアは工場など生産現場の劣化が品質問題の原因であるかのような報道を繰り返しています。製造業の内部でも、品質問題の再発防止に必要なのは、製造現場の体制の見直しだとする意見を耳にします。非常に偏っているとしか言いようがありません。

 現場力だけでものづくりができるわけがない。製造に至る前の開発設計と両輪となってはじめて造れるようになるし、品質を問えるわけです。それにもかかわらず設計力への言及があまりに少ない。この状況そのものが、製造業の問題点を物語っていると思います。

 むしろ重要なのは、設計力です。ものづくりの力は基本的に、設計が多くをコントロールする世界です。設計時点で決まった内容は原則として動かせません。逆に言うと、設計がしっかりしていなければ不具合が出るし、そもそも利益が出ない。儲かりません。設計があってこその製造業なのです。

 結論を先に言うと、製造業が市場の信頼性を確保する上での最重要事項は、不具合を出さない図面を作成する力なのです。

それが「設計力」なのでしょうか。

寺倉氏:そうです。「不具合の出ない図面を作り切る力」が「設計力」と言っていいでしょう。

 誤解のないようにしておきたいのですが、これは設計者1人の力ではありません。単に図面を書く力だけを意味しません。技術力だけでもありません。材料や技術の情報を集めて統合し、現場の加工にまで配慮して作りやすく、不具合が生じない製品を造れる図面をまとめる、設計チームの総合力です。

 設計者が設計力を伸ばすには、現場に足を運ぶ必要もあるわけです。最初は相手にしてくれない人もいるでしょう。でも、通い続けて現場の意見に耳を傾ける姿勢を理解してもらえれば、オフィスに閉じこもっていたら分からない知見を与えてくれます。「この部品の設計をこのように変更すると、加工工数が3秒下がる」「この部分の形状をこう修正すると不具合率が下がるはずだ」と、設計を改善できるヒントを教えてくれます。

 一事が万事、この調子です。設計するには材料や加工法、ゴムやねじ、接着剤、表面処理、ハンダに電子回路まで、その製品にかかわる全てについて網羅していなくてはいけません。求められる知見があまりに膨大なので、寝る時間を削って設計することもあるはずです。

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