日本企業が今後、製造業界で海外企業を相手に生き残るには「設計マネジメント力」が求められる。競合製品を的確に分析し、トータルコストに配慮して短期間で設計できる体制づくりが必要だ─。國井技術士設計事務所所長の國井良昌氏はこう指摘する。設計マネジメントとは何か、どうすれば習得できるのか。國井氏にそのポイントを聞いた。(聞き手は高市清治)
「設計マネジメント」とは何ですか。
國井氏:製造業において、複数の設計者から成る設計部門の管理職「設計マネジャー」に求められるマネジメント力です。ここ数年、日本のメーカーが勢いを失っていく過程を分析して、当事務所が提唱している概念です。
日本のメーカーが盛り返すための鍵になるのは、設計マネジャーの存在であり、その力量が「設計マネジメント力」であると私は確信しています。
設計マネジャーとは、具体的にどのような立場の人でしょうか。
國井氏:大企業なら設計部長や設計課長。中小企業なら実務に携わっている技術系の役員も含むでしょう。若い設計者たちをけん引し、その企業の製品設計の方向性を決める立場にあるマネジャーです。もちろん経験豊かなベテラン設計者でなくてはなりません。必要なのは、技術に関する知識と、ライバル企業の競合製品に打ち勝ち、シェアを奪うために戦略を立てられる力です。
日本のメーカーでは、設計部門のマネジャーが十分に技術の知識を持っていないケースが珍しくありません。設計書を見てその場で検算し、記載されている計算の間違いを指摘できる人がいないのです。技術の知識が不足していれば、競合製品に勝つための「攻める」戦略など立てられるはずもない。これでは設計マネジャーとは言えません。管理職ではなく、ただの「管理人」です。