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自動車の電動化や、5Gをはじめとする大容量通信ネットワークの普及などによって、「電源」の技術や設計がより高度に、複雑になってきている。電源技術の重要性を唱え、「日経クロステックラーニング」で「5GからEV、MaaSまで、電源技術最前線」の講座を持つ崇城大学 情報学部 情報学科 准教授の西嶋仁浩氏に聞いた。(聞き手は高市清治)

「電源技術」の重要性を説いています。

西嶋仁浩 氏
西嶋仁浩 氏
崇城大学 情報学部 情報学科准教授

西嶋氏:電源の重要性は増しこそすれ衰えることはないでしょう。今後、自動車の電動化や、MaaS(Mobility as a Service)など電力を使う製品・サービスがますます多様化するのは間違いない。一方で多品種少量生産の浸透で電源システムの設計はより難しく、より重要になるはずです。自動車や自動車部品、産業機器などあらゆるメーカーは、自社内に電源に関する知見を蓄積しておく必要があります。

 ちなみにここでいう電源とは、電力会社から送られる交流電圧を降圧・整流したりして直流電圧に変換したり、バッテリーの電力を装置の動作に必要な電圧などに変換したりする「電源回路」や「電源装置」を意味しています。パソコンや携帯電話など電源回路を必要とする電気製品が急激に普及していますので、電源回路の重要性は増大する一方です。

 個人の生活だけではありません。企業が重要なデータを保存するサーバーや、大量のサーバーを抱えるデータセンターなど経済活動の中で使用される設備にも電源回路や電源装置は必要です。今後、5G(第5世代移動通信システム)が普及すれば、個人や企業間での通信量が増大し、必要とされる通信機器の電源の需要も爆発的に増えるはずです。