「災害の時代」と総括され、製造業も多くの被害を受けた平成。被災時の対応はあれでよかったのか、今後は大丈夫なのか─。“想定外”の連続だった平成の災害対策を振り返るとともに東日本大震災時のすばやい生産移管、タイ大洪水時の被災企業支援の当事者が今後の災害対策の考え方を提言する。

「災害の時代」と総括され、製造業も多くの被害を受けた平成。被災時の対応はあれでよかったのか、今後は大丈夫なのか─。“想定外”の連続だった平成の災害対策を振り返るとともに東日本大震災時のすばやい生産移管、タイ大洪水時の被災企業支援の当事者が今後の災害対策の考え方を提言する。
Part1 総論
平成の自然災害では、常に前例のない、想定外の出来事が生じた。日本経済が低迷した時期、メーカーは在庫と設備を絞り込んだため、工場自体が被災すればもちろん、部品供給が止まっただけでも工場のラインはすぐ止まるようになった。冗長な経営資源を抱えていても、市場の伸長がすべて覆い隠してくれた昭和の時代は去った…
Part2 緊急生産移管経験者が語るBCP
東日本大震災で富士通のデスクトップパソコンの生産拠点、富士通アイソテック(福島県伊達市)は大きな被害を受け、生産が停止した。そのわずか12日後、島根富士通が代替生産を開始する。
Part3 タイ洪水対応で分かったこと
2011年10月に発生したタイ全土の洪水では、日本企業も約450社が大きな被害を受けた。現地で被災企業の支援に当たったのがジェトロ(日本貿易振興機構)バンコク事務所。当時、同事務所調査担当部次長だった、国士舘大学政経学部准教授の助川成也氏に話を聞いた。
Part4 災害で強くなった新幹線
変電所から海岸、内陸部、そして海底まで。新幹線を守る地震計は平成の間に大幅に増えた。地震をいち早く検知し、走行中の列車を安全に止める新幹線の「早期地震検知システム」は、災害に対して設備を守るさまざまな取り組みの中でも最も大規模なものの1つ。
Part5 調査テーマ「BCP(事業継続計画)と通常業務のトレードオフ」
緊急事態に遭遇した場合の対処をあらかじめ策定した事業継続計画(BCP:Business Continuity Planning)。地震や水害などの災害が頻発した近年、その重要性があらためて認識されるようになった。