宇宙ビジネスに大きな変革が訪れている。多段式「大型」ロケットから「小型」ロケットへ。ロケットの「使い捨て」から「再利用」へ。民間企業の参入と低コスト化が同時に進み、宇宙を活用する新たなビジネスの萌芽が出てきた。背景にあるのは、デジタル・エレクトロニクスなど技術の進歩だ。宇宙開発が迎えるパラダイムシフトの実像を追う。

宇宙産業が迎えるパラダイムシフト
宇宙ビジネスに大きな変革が訪れている。多段式「大型」ロケットから「小型」ロケットへ。ロケットの「使い捨て」から「再利用」へ。民間企業の参入と低コスト化が同時に進み、宇宙を活用する新たなビジネスの萌芽が出てきた。背景にあるのは、デジタル・エレクトロニクスなど技術の進歩だ。宇宙開発が迎えるパラダイムシフトの実像を追う。
総論
宇宙ビジネスに大きな変革が訪れている。「宇宙輸送システムの再利用」と「打ち上げロケットの小型化」だ。 いずれも宇宙ビジネスの低コスト化を進め、民間企業の参入を促している。例えば、日本の宇宙ベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」(IST)が2019年5月4日、小型衛星用ロケットの打ち上げに成功…
Case1 スペースX ―再利用
21世紀に起業した宇宙ベンチャー「ニュー・スペース」のトップを走っているのが、起業家のイーロン・マスクが2004年に興した米スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(Space Exploration Technologies)だ。同社は一般的に、「スペースX(SpaceX)」と呼ばれている…
Case2 ブルーオリジン ―再利用
スペースXと並んで米国ニュースペースの雄であるブルーオリジン。これまでの打ち上げ実績は、弾道飛行を行う有人宇宙船「ニューシェパード」の試験打ち上げのみだ。ニューシェパードもカプセル宇宙船はパラシュートで、推進モジュールは逆噴射による着陸で回収しする「回収・再利用型」であり、この点ではスペースXのフ…
Case3 ロケットラボ ―小型化
現在、全世界で100社近くあると言われている宇宙ベンチャー。その「群れ」から抜け出し、国際的な小型ロケット打ち上げという市場を切り開いて、そのリーダーとしての地位に立ったのが米国に本拠を置くロケットラボだ。同社をリーダーたらしめたのは、世界初の小型衛星打ち上げ専用の小型ロケット「エレクトロン」だ。
Case4 日本のベンチャー ―小型化
現在、日本では2つのベンチャー企業が小型衛星打ち上げ用ロケットの開発を表明し、実際に開発作業に取りかかっている。インターステラテクノロジズ(IST)と、スペースワンだ。 ISTは2019年5月4日、高度100kmの宇宙空間到達を目指す弾道飛行ロケット「MOMO」3号機を打ち上げ、高度113.4km…