
21世紀に起業した宇宙ベンチャー「ニュー・スペース」のトップを走っているのが、起業家のイーロン・マスクが2004年に興した米スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(Space Exploration Technologies)だ。同社は一般的に、「スペースX(SpaceX)」と呼ばれている。
同社は現在の宇宙産業に大きな影響を与えている。特に同社が開発したロケット「ファルコン9」の第1段を2015年12月22日、史上初めて陸上着陸場へ逆噴射で軟着陸させて回収した意義は大きい(図1、表1)。陸上に軟着陸できるようになれば、パラシュートを使って海面に軟着水させる回収方法と異なり、機体を海水に漬からせずに回収できる。これによって機体の小型化とともに、機体の回収・再利用によるコストダウンを図る宇宙ビジネスの道筋を開いたと言っていいだろう。