
所在地 | ドイツ・バイエルン州アンベルク市 |
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設立 | 1989年(EWAの設立) |
延べ床面積 | 1万m2(EWAのみ) |
従業員数 | 1300人 |
生産品目 | PLCなど工業用電子機器1200品目 |
生産数量 | 年産1600万台 |
「アンベルク電子製品工場(EWA=Electronics Works Amberg、図1)は、我々の主力工場であると同時に、デジタル工場戦略の実験場であり、最新のショーケースだ」と、独シーメンスでFA(ファクトリー・オートメーション)事業のCEO(最高経営責任者)を務めるラルフマイケル・フランケ氏は胸を張る。
コンピューターシミュレーションと現実の生産ラインを同期させて運用するデジタルツインや自動化・ロボット、IoT(Internet of Things)を使った稼働データの収集と解析、人工知能(AI)活用といった同社のデジタル工場向けの新技術の多くは、ここEWAで最初に試され、実際の製造に利用して改良を加え、成果を確認したうえで製品・サービス化されている。「市場が求めている技術を自分たちの製造現場でまず試して改良し、実力を磨いてきた」(フランケ氏)。
操業開始から約30年で生産性を13倍に
EWAはシーメンスのFA事業を支える「SIMATIC」ブランドのPLC(プログラマブル・ロジックコントローラー)など、比較的小型の工業用電子機器の主力組み立て工場だ(図2)。ほぼ1秒に1台のペースで年間1600万台を生産し、同社の世界需要の実に67%を賄う。シーメンスがこの地に最初に工場を構えた1951年以来、70年近い歴史があり、敷地内には「SIRIUS」ブランドのスイッチや配電盤を製造する機器工場「GWA(Gerätewerk Amberg)」が併設される。2つの工場を併せて合計3万m2を超える敷地に合計約5000人が働く。
EWAの製造エリアは約1万m2。サッカーコート1.5個分くらいの広さに約1300人の従業員が3交代で働く。この広さは操業を開始した1990年(設立は1989年)以来変わっていない。一方で、生産能力は28年で13倍以上に伸ばした(図3)。リーマン・ショック直後はさすがに生産量が落ち込んでいるが、その数年間を除くと、操業開始以来ほぼ右肩上がりで生産実績を高め続けている。特にデジタル化投資を本格化した2015年以降の伸びはすさまじい。操業開始から2015年までの24年間でEWAは生産能力をほぼ10倍にしているが、デジタル化でそこからさらに約1.4倍に生産量を伸ばしている。