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上海工場
法人名オムロン(上海)有限公司
所在地中国・上海市浦東新区
稼働開始2018年7月(第2工場)、2005年7月(第1工場)
延べ床面積2万3714m2(第1工場+第2工場)
生産品目センシング機器(光電、近接センサーなど)
生産数量170万台/月
(2020年度時点のセンサー本体の第2工場生産数)

 「中国の人件費上昇を上回る生産性向上を念頭に改善を進めている」─。オムロン上海董事・総経理の西山正人氏はこう語る。上海市郊外にある同社の工場は、リレーやセンサー、PLC、温度調節器などを生産するオムロンのインダストリアルオートメーション事業(IAB:制御機器事業)の中核工場。生産品目数は2万2000種に及び、生産出荷高は30億中国元(約480億円)とIAB全体の約35%を占める。2018年7月には新工場となる「第2工場」が稼働開始した。

 同工場が、ここ数年推し進めているのが自動化やIoT化による生産性向上だ。いま中国のメーカーは工場の自動化・省人化に力を入れており、それに伴いIABの商品である制御機器やセンサーの需要も拡大している。一方で同国の人件費は上昇を続け、価格競争力を保つのが難しくなっている。そこで同工場は、省人化・高効率生産によって品質を確保しながらいかに原価を抑えるかに腐心している。

セル生産で“高度10m”の改革

 上海工場は、主に1階が実装機による電子部品実装フロア、2階がセル生産による製品組み立てフロアとなっている。電子部品実装工程はもともと実装機による自動化が進んでいる。いま力を入れているのは、手作業が中心のセル生産の生産性を高める取り組み「セルラインコントロールシステム」(CLCS)の展開だ(図1)。

図1 第1工場の組み立てセル
図1 第1工場の組み立てセル
セルに光電センサーなどを組み込んで作業者の動きを検出。作業ミスを防いでいる。(写真:日経ものづくり)
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 上海工場を率いる西山氏は、「目指しているのは日本以上の品質。データ分析による予兆管理やポカヨケで不良を造れないラインを構築する」と語る。セルの稼働データを集めて現場を見える化したり、作業ミス防止の仕組みを組み込んだりする。データで見える化すれば改善も進めやすい*1

*1 オムロンが掲げるものづくりのコンセプト「i-Automation!」に基づいた取り組みでもある。i-Automationは、「integrated(制御進化)」、「intelligent(知能化)」、「interactive(人と機械の協調)」の3つの「i」で生産現場を革新しようというもの。IABの製品群でこの実現を支援するとともに、自社工場でも実践している。

 例えば、主に温度調節器やタイマーを製造する第1工場では、組み立てラインのセルに光電センサーなどを幾つも組み込んで作業ミスを防ぐ。作業者の手の動きを検出し、作業の着手・完了を把握して手順が正しいか、電動ドライバーの回転数を計測してねじ締め作業が適正に行われたかなどをチェックする。作業が正常に行われていないと、アラームが出て上方のディスプレーに表示された作業指示画面が次の手順に切り替わらず、「不良を造れない」仕組みとなっている。

 センサーなどから集めたデータを集計して、ラインの生産実績や稼働状況をリアルタイムで把握。加えて、集めた情報を分析して、「現場管理アンドン」と呼ぶモニタリングシステムでフロア全体の状態をリアルタイムで監視している(図2)。現場管理アンドンでは、各ラインの状態について、QCDES(Q:品質、C:コスト、D:納期、E:エネルギー、S:安全)の5項目を定量評価し、「正常」の範囲内か(緑色)、異常ではないが悪化傾向の「予兆」があるか(黄色)、「異常」(赤色)を色分けして表示する。

図2 CLCSの現場アンドン
図2 CLCSの現場アンドン
フロアの各セルの状態が一目で分かる。緑色は正常であることを示している。(写真:日経ものづくり)
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 同社は、このように情報を吸い上げて現場のシステム(エッジ)で処理したり、上位の情報系システムと連携したりする取り組みを「高度10mのものづくり革新」と呼ぶ。「現場の機器の情報を結んでフル活用する。現場の生産性を確実に高める現実的なIoTの活用アプローチ」(西山氏)だ。