小惑星「リュウグウ」へのタッチダウンに向けて入念なリハーサルを繰り返し、その結果を踏まえた改良により着陸精度を向上させた「はやぶさ2」のプロジェクトチーム。目標地点を定め、いよいよ1回目のタッチダウンを決行する2019年2月21日(日本時間)を迎えた。しかし、新たな試練がチームを待ち構えていた。
はやぶさ2チームは、1回目のタッチダウンに当たり、探査機本体を高度20kmのホームポジション(HP)から、速度0.4m/sでまず高度5kmまで降下させ、次いで0.1m/sに減速して高度45mを目指す計画を立てていた(図1、2)。
想定外のトラブルが発生したのは、高度5kmを目指して降下を開始する約1時間半前の午前7時15分ごろ(日本時間、地上時刻)だった。「はやぶさ2」プロジェクトチームミッションマネージャの吉川真氏によると、「探査機の降下準備プログラムを動作させたところ、探査機が認識している位置情報が想定と異なっていた」(図3)。
幸い、はやぶさ2チームの懸命の原因究明により、理由はすぐに判明する。「探査機が認識している位置情報が、降下誘導プログラムの動作のタイミングの影響で異なったデータになってしまっていた」(同氏)のだ。調査の結果、非常に特殊な事象で発生する、これまでは発生していなかった不具合であると分かった。同チームは、その不具合を解消するべくプログラムの修正に着手。だが、困ったことにその修正はなかなか終わらなかった。