全2006文字
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作品No. 001 企業名 マツダ 本社工場
作品名 「おぉ!そこっ!搬送ないって!」
・2重構造で収納式のコンベヤー
・ワークの動きを利用して電力ゼロで自動開閉

 マツダは、ワークの動きを利用して半自動で開閉するコンベヤーゲート「おぉ!そこっ!搬送ないって!」を披露した(図1)。コンベヤーゲートは、作業者が搬送ラインを横断できるよう一部を開閉可能にしたコンベヤー。従来の回転式コンベヤーゲートのような開閉の手間が要らない他、人が挟まれるリスクを減らした。そのアイデアと完成度の高さが評価され、「からくり改善くふう展」の「最優秀からくり改善賞」を受賞した。

図1 マツダが出展した半自動開閉コンベヤーゲート「おぉ!そこっ!搬送ないって!」
図1 マツダが出展した半自動開閉コンベヤーゲート「おぉ!そこっ!搬送ないって!」
くし歯をかみ合わせたように可動コンベヤー(ローラーが大きなもの)と固定コンベヤー(ローラーが小さいもの)が互い違いに配置されている。(写真:日経ものづくり)
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 同作品を製作・導入したのは、マツダの本社工場第2パワートレイン製造部。エンジンのシリンダーヘッドを搬送するローラーコンベヤーに採用した。作業者はコンベヤー上に載せたシリンダーヘッドを手で押して搬送している。

 従来の回転式コンベヤーゲートは、コンベヤーの一部が水平面上で旋回し、作業者が手で回すと人が通れる程度の幅が空く仕組みとなっていた。通常は閉じており、必要に応じて手動で開閉していた。よって、作業者が横断するたびに、1回15秒ほどの開閉時間が必要だった。開閉で生じるコンベヤーの隙間に手足が挟まれる危険もあったという。

ワークを押す力でコンベヤーを伸ばす

 製作したコンベヤーゲートは伸縮式だ。コンベヤーの一部を回転させるのではなく、コンベヤーが通路の両端からせり出したり、引っ込んだりする。通常はゲートが開いたままで作業者の通路が確保されており、ワークが流れる時だけ閉じる。しかも電力やモーターを使わない。生産を妨げず、かつ作業者の安全と利便性を確保した上で、電源レスで開閉の自動化を実現した。

 詳しい仕組みを見ていこう。図1に示したようにコンベヤーゲートはそれぞれ、「固定コンベヤー」と「可動コンベヤー」の2組のローラーの列が互い違いに組み合わさった2重構造になっている。可動コンベヤーはスライド可能で、これが左右からせり出したり引っ込んだりして、ワークを搬送できる状態と、作業者が通行できる状態を切り替える(図2)。

図2 コンベヤーゲートを開閉する仕組み
図2 コンベヤーゲートを開閉する仕組み
ワークを押す力を利用して可動コンベヤーを引き出す。左右の可動コンベヤー(緑色で図示)をワイヤで接続しているため、どちらかを動かすだけで左右対称に動く。(マツダの資料を基に日経ものづくりが作成)
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 通常、可動コンベヤーは引っ込んだ状態だが、作業者が図2中の右にあるワークを搬送方向に押し出すと、固定コンベヤー上を滑り出したワークが可動コンベヤーの先端にある「ストッパー」に当たる。この時点では、ストッパーは「固定具」と接触しており動かない。そのため、作業者がワークを押し続けると、可動コンベヤーがせり出す。

 左右の可動コンベヤーはワイヤで接続されており、左右対称に動くため、右の可動コンベヤーを押し出せば、左の可動コンベヤーもせり出してくる。最終的には、左右からせり出してきた可動コンベヤー同士が接触して、「橋」を架けた状態になる。