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作品No. 006 企業名 ジェイテクト 豊橋工場
作品名 位相無双
・自重を使って動力なしに部品を搬送
・部品を取ると入れ物が勝手に出発点に戻る

 ジェイテクトの「位相無双」は、動力の要らない、部品の搬送装置だ(図4)。アクチュエーターや人の力を使わずとも、部品の自重による作用だけで、搬送できる。自重による搬送といえば、傾斜したローラーコンベアに部品を載せて流す方法があるが、本作品のアプローチはそれとは異なるものだ*4

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図4 ジェイテクトが出展した部品搬送装置「位相無双」
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図4 ジェイテクトが出展した部品搬送装置「位相無双」
搬送装置の外観(a)と、左から右に部品を搬送する様子(b)。部品を運ぶ入れ物は搬送レール上を自由に滑走するが、部品投入前は正面から見て左端(出発点)に留まっている。入れ物に部品を投入すると、部品は後述する仕組みで移動し始め、右端(搬送先)に到着する。到着した部品を拾い上げると、入れ物は勝手に左端に戻る。(写真:日経ものづくり)
*4 展示では、ギア部分を設けた軸部品にベアリングを組み合わせた製品について、搬送する様子を見せた。

 具体的には、大きく2つの要素から成る。作業者が部品を入れたり出したりするのに使う受け皿としての「入れ物」と、長い帯のような形をした金属板から成る「搬送レール」である。入れ物はこのレールに沿って動く。

 一連の動作は次の通りだ。まず、作業者が「出発点」にある入れ物に、部品を投入する。すると、後述の仕組みで部品がレールを滑り出し、「搬送先」に到着して停止する。作業者が到着した部品を取り出すと、入れ物が自動で再び出発点まで戻ってくる。

回転で高低差をつくる

 入れ物は、複数の滑車から成る「ガイド」により、レールに沿って滑走する。ここで、レールの出発点と搬送先に高低差があれば、傾斜したローラーコンベヤの場合と同じように、入れ物と部品はその自重によって、低い方へと移動する。この高低差の作り方がこのからくりのポイントだ。

 レールには、長手方向に回転軸が設けてある(図5)。この回転軸の両端は本体のフレームに取り付けた軸受で支えている。搬送装置を正面から見ると、この回転軸は水平に走っている。一方、搬送装置を上面から見ると、この回転軸は帯状のレールの中心ではなく、中心から見て対角線の向きにずれた経路を通っているのが分かる*5。この回転軸の「ずれ」が重要な役割を果たす。

図5 搬送レールの回転
図5 搬送レールの回転
部品投入前(a)と部品投入後(b)について、搬送レールの状態を示した。帯状の金属板である搬送レールは、長手方向に回転軸を持つが、その向きは少々、対角線の方向にずらしてある。部品投入前、重りの作用によって搬送レールは出発点側の側面から見て、左側に傾いている。部品を投入すると、重りによる回転力よりも部品の重さによるそれが上回るため、搬送レールは同右側に傾く。この傾きと回転軸のずれによって出発点と搬送先に高低差が生じ、入れ物が動力なしに搬送レール上を滑走する。(ジェイテクトへの取材を基に日経ものづくりが作成)
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*5 理解を容易にするため、図5では搬送レールの回転軸が対角線方向にずれている様子を、実際よりも強調している。