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作品No. 007 企業名 パナソニック スマートライフネットワーク事業部
作品名 マジックゴンドラシューター
・ししおどしの要領で、一押しで通い箱を交換
・1台当たり年額約46万円のコスト削減効果

 パナソニックの「マジックゴンドラシューター」は、生産現場で使う「通い箱」の入れ替え作業を楽にするからくりだ。この通い箱は家電製品のプリント基板を運ぶもので、1箱当たり10枚ほどの基板を縦に並べて入れる。従来、作業者は空の通い箱を作業台の隣まで人手で引き寄せ、作業済みの基板を収納していた。満杯になったら次の工程に送り出し、また別の空になった通い箱を引き寄せる。この入れ替え作業を何度も繰り返していたという。

 そこで、この作業を半自動でこなせるからくりを考案した(図1)。作業台の隣に置いて使う。作業者が基板を納めた通い箱を手でひと押しするだけで、あとは勝手に空の通い箱に入れ替わる。モーターや圧縮空気といった動力源は必要ない。

図1 パナソニックが出展した通い箱の入れ替え装置
図1 パナソニックが出展した通い箱の入れ替え装置
マジックゴンドラシューターを斜め正面から見た様子。写真はゴンドラが通い箱を受け取った瞬間。この後、ゴンドラと通い箱は下降していき、作業者がプリント基板を収納する位置に停止する。(写真:日経ものづくり)
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 大まかな動きは次の通りだ。まず、上部ローラーコンベヤーから空の通い箱が供給されて、上下に移動する「ゴンドラ」の中に到着する。通い箱が到着したら、作業者はプリント基板をそこに収納していく。満杯になった通い箱をゴンドラの外に掃き出すと、下部ローラーコンベヤーにたまっていく。

 通い箱は、からくりを正面から見た際に右側にある上部ローラーコンベヤー上を流れてゴンドラに入り、逆に出る時は下部ローラーコンベヤー上を流れる。上部ローラーコンベヤーは左方向に、下部のそれは右方向に下っている。この傾斜によって通い箱は自重だけで移動する。ゴンドラは、スプリングバランサー*1から伸びたワイヤにぶら下げている(図2)。

図2 スプリングバランサー
図2 スプリングバランサー
ワイヤの下にゴンドラをつり下げている。(写真:日経ものづくり)
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*1 機械などをワイヤによって空中につり下げておく機器。このワイヤはゼンマイの力によって引っ張られているので、作業者はつり下げた物をわずかな力で上下方向に移動させられる。

 詳細は後述するが、ゴンドラの底部には、通い箱が載るローラーコンベヤーが設けてある。先述の上部/下部ローラーコンベヤーとは別のもので、このゴンドラのローラーコンベヤーが重要な役割を果たす。