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作品No. | 009 | 企業名 | マツダ 本社工場 |
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作品名 | ラッチ de キャッチ | ||
・パレットや通い箱要らずの部品供給 ・トイレットペーパーの交換がヒントに |
マツダの「ラッチ de キャッチ」は、部品の実のみ供給*1を実現するからくりだ(図1)。板金部品の補充において、生産ライン脇でのパレット交換作業、およびそれに関連する作業を不要にした。
*1 実のみ供給 部品をパレットに載せたり通い箱に入れたりせずに生産ラインへ供給すること。空のパレットや通い箱を交換する手間を省ける。
手間だったパレット交換
このからくりは、クロスオーバーSUV「CX-3」の組み立てラインに、断面形状が「コの字」形をした板金部品(トンネルレイン)を供給するのに使う。
トンネルレインの質量は1枚当たり6.25kg(図2)。以前は、数十枚をパレット上に積み重ねて組み立てライン脇に置いておき、生産ラインの作業者はそこから1枚ずつ取って組み立てに用いていた。パレット上の部品が残り5枚以下になると、作業者はそれらをパレットから近くの仮置き場に移動させる。その後、別の作業者が空になったパレットをフォークリフトで回収し、工場から120mほど離れたプレス部品庫から補充用の部品を積んだ別のパレットを運んできていた。
「ラッチ機構」を用いたからくり「ラッチ de キャッチ」は、このパレットの入れ替え作業をなくすためのものだ。部品をパレットから仮置き場に移動させる作業が不要になった他、パレットを常に生産ライン付近に置いておく必要もなくなった。部品の残数も分かり易くなったため、部品を運ぶ作業者の“短時間で供給しなくてはならない"という心理的な負担も軽減したという*2。
*2 部品の残数を物流作業者に知らせる専用のからくりも別に製作して活用しているという。