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SAR開発で急進する中印イスラエル

 NASAが打ち上げたSAR衛星SEASATの成果は世界的に注目を集め、日欧でもSAR衛星の研究が始まった。

 日本では1970年代末から旧通商産業省が宇宙からの資源探査という名目で、衛星に搭載するSARの研究開発を積極的に推進した。最初の成果が1992年2月に打ち上げた「ふよう1号」(JERS-1)だ。同衛星は分解能18mのSARを搭載。1998年10月に運用を終えるまで6年半の間観測を継続して、SAR運用ノウハウを蓄積した。

 その後日本は、2006年1月打ち上げの衛星「だいち」 (ALOS)、2014年5月打ち上げの「だいち2号」(ALOS-2)と、SARを搭載した衛星の運用を継続している*3

*3 内閣官房・衛星情報センターは、運用中の安全保障用偵察衛星「情報収集衛星(IGS)」シリーズに、光学衛星とレーダー衛星(SAR衛星)の2種類を運用しており、2004年以降は7機のレーダー衛星を打ち上げている。

 欧州宇宙機関(ESA)は、1991年7月に最初のSAR衛星「ERS-1」を、1995年4月には同型の後継衛星「ERS-2」を打ち上げた。現在は2014年と16年に打ち上げた「Sentinel-1A/1B」の2機のSAR衛星を運用している。

 北極圏を抱えるカナダは、悪天候でも北極圏の海氷を観測できるSARの特徴に着目。1980年代から積極的に技術開発を進めた。1995年11月には海氷観測を目的とした最初のSAR衛星「RADERSAT-1」を、2007年12月には後継機の「RADERSAT-2」を打ち上げ、運用を続けている。2019年6月には第3世代RADERSATの「RCM」3機を打ち上げた。

 ドイツは安全保障向けに「SAR Lupe」衛星*4を運用する一方で、科学観測や民間用途に「TerraSAR-X」(2007年6月打ち上げ)や、「TanDEM-X」(2010年6月打ち上げ)を運用している*5。イタリアは安全保障と民生両用のSAR衛星「COSMO-Skymed」を2007年から2010年にかけて4機打ち上げて、運用している。

*4 2006年から2008年にかけて5機を打ち上げた。
*5 いずれも最大分解能24cmの高分解能観測ができる。両衛星はほぼ同一の軌道で編隊飛行しており、一方の放射した電波を他方で受信する手法で高分解能3次元地形データを取得できる。