小型SAR衛星によるコンステレーション構築─。この参入者がほとんどいない“ブルーオーシャン”に参入したのが日本の衛星ベンチャー企業であるQPS研究所(以下、iQPS、福岡市)だ*1。
同社は2019年12月11日、SAR衛星「イザナギ」の打ち上げに成功している*2。ライバルである日本のシンスペクティブが、SAR衛星を使って収集したデータなどの解析部門を持ち、顧客へのソリューションの提供を目指すのに対して、iQSPは衛星コンステレーションの構築と維持・運用、データ取得に特化。現在は、世界主要都市の高頻度の撮像によるビジネス展開を模索している(図1)。
イザナギはiQPSが構築を目指すSAR衛星コンステレーションの1号機だ(図2)。レーダー衛星としては小型に分類される100kgの本体に、直径3.6mの大型の展開パラボラアンテナを装備。Xバンド(9GHz帯)の電波で地表面をレーダー観測する。同社が小型のSAR衛星を実現できた鍵は、この展開パラボラアンテナの開発が握っていた。
同社は現在、2号機の「イザナミ」を開発中だ。2020年前半の打ち上げを予定している。それらの運用結果を受けて、2024年を目標に36機のSAR衛星で構成されるコンステレーションを構築し、世界中の主要な地域を10分間隔で撮影可能にするとしている。