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 小型SAR衛星によるコンステレーション構築─。この参入者がほとんどいない“ブルーオーシャン”に参入したのが日本の衛星ベンチャー企業であるQPS研究所(以下、iQPS、福岡市)だ*1

*1 欧州が2007年以降、先行して大型SAR衛星のデータを販売していた。しかし、アメリカ商務省はSAR衛星の取得データの商用利用に制限をかけていたので参入者は少なかった。欧州の動きを受けてアメリカがSAR衛星データの商用利用を解禁したのは、2015年10月と最近のことだ。

 同社は2019年12月11日、SAR衛星「イザナギ」の打ち上げに成功している*2。ライバルである日本のシンスペクティブが、SAR衛星を使って収集したデータなどの解析部門を持ち、顧客へのソリューションの提供を目指すのに対して、iQSPは衛星コンステレーションの構築と維持・運用、データ取得に特化。現在は、世界主要都市の高頻度の撮像によるビジネス展開を模索している(図1)。

*2 「イザナギ」は、インド東岸のサティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられた。イザナギはその後、初期運用の山場である直径3.6mのパラボラアンテナの展開にも成功。2020年2月時点では、初画像取得に向けて衛星の状態をチェックする作業が続いている。
図1 QPS研究所のビジネスモデル
図1 QPS研究所のビジネスモデル
QPS研究所はSAR衛星のコンステレーション構築と維持・運用、データ販売に特化する。収集したデータの解析やソリューション提供は現時点では行っていない。(出所:日経ものづくり)
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 イザナギはiQPSが構築を目指すSAR衛星コンステレーションの1号機だ(図2)。レーダー衛星としては小型に分類される100kgの本体に、直径3.6mの大型の展開パラボラアンテナを装備。Xバンド(9GHz帯)の電波で地表面をレーダー観測する。同社が小型のSAR衛星を実現できた鍵は、この展開パラボラアンテナの開発が握っていた。

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図2 パラボラアンテナを搭載したイザナギ
図2 パラボラアンテナを搭載したイザナギ
アンテナを畳んだ状態のイザナギ(a)、畳んだパラボラの高さが非常に低いことが分かる。アンテナを展開した状態のイザナギ(b)。(写真:QPS研究所)
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 同社は現在、2号機の「イザナミ」を開発中だ。2020年前半の打ち上げを予定している。それらの運用結果を受けて、2024年を目標に36機のSAR衛星で構成されるコンステレーションを構築し、世界中の主要な地域を10分間隔で撮影可能にするとしている。