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 1566年創業の老舗寝具メーカーである西川が単独で初出展したり、住宅メーカーの積水ハウスはヘルスケア事業を強く打ち出したりと、生活や健康をデジタル技術でサポートする出展も目立った。米プロクター&ギャンブル(P&G)は、前回(CES 2019)に続いてデジタル技術を取り入れた“スマート日用品”の試作機を幾つも披露。韓国・LG電子はスマート家電におけるAIカスタマーサービスを2020年実用化すると発表した。IoT(Internet of Things)化や人工知能(AI)といったデジタル技術によって業界の垣根が取り払われ、異業種入り乱れての競争が激化している。

マットレスがAlexa介し家電と連携

 西川は、CES会場で戦略説明会を開催。同社代表取締役社長の西川康行氏は、体圧を分散するマットレス「AiR(エアー)」に加えて、パナソニックと共同開発した「快眠環境サポートサービス」向けに提供するスマートマットレス「[エアーコネクテッド]SIマットレス」を紹介し、米国をはじめとするさまざまな国で、スリープテック事業に取り組んでいくと語った(図1)。

図1 スマートマットレスのコンセプト
図1 スマートマットレスのコンセプト
マットレス内蔵型センサーで体動を検知して睡眠のリズムや質、ストレスレベルや疲労回復レベルを分析し、睡眠改善のアドバイスを行う。(資料:西川、撮影:安蔵)
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 パナソニックと連携する日本国内でのサービスと大きく異なるのは、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の音声アシスタント機能「Amazon Alexa」(アレクサ)との連携にある。スマートマットレスは睡眠状況を可視化するために体の動きを検知する体動センサーを内蔵。これを用いて体の動きをセンシングし、起床時刻近くに睡眠が浅いと検知したら照明を徐々に明るくする、逆に睡眠を検知したら照明をオフにするといった連携を想定するという。

住まいの「エアバッグ」化

 積水ハウスが発表したのは、在宅時急性疾患早期対応ネットワーク「HED-Net」(In Home Early Detection Network)*1。住宅内にいる人の生体データを非接触で検知・解析し、急性疾患発症の可能性があるといった異常を検知した場合には同社の緊急通報センターに通知する。オペレーターが呼びかけて安否確認するだけでなく、救急への出動要請、救急隊の到着確認、玄関ドアの遠隔解錠・施錠までを一貫して行う。いわば、緊急時にサポートする住まいの「エアバッグ」である。安否確認システムとして国内のシステム特許を取得し、国際特許も出願中という。

*1 前回の「CES 2019」で積水ハウスは「プラットフォームハウス構想」を発表していた。HED-Netは、同構想におけるサービスの第1弾となる。

 同社代表取締役社長の仲井嘉浩氏は「健康を実現するサービスである『急性疾患対応』『経時変化』『予防』の3つのうち、HED-Netは1つ目の急性疾患対応」と説明した(図2)。2020年春に50戸のユーザーを募集し、実証実験を行う計画。初期費用は主にセンサーの設置により100万円以下で導入でき、月額数千円程度で利用できるようになるという。(安蔵靖志=IT・家電ジャーナリスト)

図2 在宅時急性疾患早期対応ネットワーク「HED-Net」
図2 在宅時急性疾患早期対応ネットワーク「HED-Net」
積水ハウス 代表取締役社長の仲井嘉浩氏(a)とHED-Netのコンセプト(b)。在宅している人の異常の検知から、通知、安否確認、出動要請、遠隔での開錠・施錠までを一貫して行う。(写真:安蔵、b:資料は積水ハウス)
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