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デンソー ソフト生産革新部 開発体制強化推進室 担当課長
山田隆太氏

デンソー FA事業部 FA開発室
松井祐樹氏

デンソーは「第1回マイクロマウス デンソーカップ」の開催に向けて準備を進めている。マイクロマウスは超小型の自律型ロボットで迷路を探索し、ゴールに達する最短時間を競うロボット競技だ。同カップの会場は愛知県刈谷市の同社本社だが、内外から多数の個人やチームが参加するという。なぜ、自動車部品メーカーである同社がマイクロマウス大会を開くのだろうか。その背景と狙いについて、同社ソフト生産革新部の山田隆太氏、FA事業部の松井祐樹氏に聞いた。

* 第1回マイクロマウス デンソーカップは2020年3月7日に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期となった。

山田─私が所属するソフト生産革新部の使命は、デンソー製品に組み込むソフトウエアの品質を高めることです。具体的には、ソフトウエアのソースコードを分析して、将来の製品ロードマップを見据えつつ、より良い設計手法を取り入れようとしています。並行して、社内のソフトウエア人材を育成したり、採用活動に貢献したりしています。

山田隆太氏
山田隆太氏
デンソー ソフト生産革新部 開発体制強化推進室 担当課長(写真:上野英和)

 当社でこうした活動が盛んになったのは、およそ10年前からのことです。今までの自動車は、例えば「曲がる」「止まる」「走る」といった機能ごとに、コンポーネントが独立していました。ところが、自動運転の実現といった将来を見据えると、これらの統合制御が必要になってきます。そこで、当時のある役員を中心に、ソフトウエアをどのように強化して現場に適用していくべきかについて、議論を始めました。

 自動車の世界はどんどんソフトウエア・リッチになり、自動車メーカー自身が、ソフトウエア人材を抱えて体制を強化しています。その中で、やはり自動車が走るための制御プログラムは、サプライヤーの私たちが強みとして持つ必要があると考えています。なぜなら、これからクラウドを活用したシステムを得意とする人たちと協業しますという時に、私たちの強みを明言しなくてはなりませんから。

 マイクロマウスの大会を企画したのは、こうした強みを支える人材が不足しているという危機感があったからです。大会の準備は2019年の夏ごろから始めました。合言葉は「ソフトウエアの聖地・刈谷」。社内の制御エンジニアの育成に加えて、社内外を問わず将来を支える優秀な人材を集めたコミュニティを作っていきたいと考えています。