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 新型コロナウイルス感染拡大のさなかにもほとんどの鉄道は普段と変わりなく運行しているように、鉄道の第1の任務は安全で速く、遅れや運休の少ない輸送サービスの提供だ。一方で、長い間二の次とされてきたのが快適さ。ところが高齢化社会の進展などの社会の変化に伴い、快適な鉄道に対するニーズが強まりつつある。

 都市部では多くの鉄道事業者が、着席を有料で保証する列車を朝晩のラッシュ時に運行するようになった。小池百合子東京都知事が2016年に当選したときの公約の1つが「満員電車ゼロ」だった。約10年前、鉄道を専門分野とする、ある大学教授は「席をお年寄りに譲るのはもちろん大事だが、いくら若くても仕事で疲れてヘトヘトになっている通勤客に席を立てと言うのも酷ではないか。座れないのが当たり前という常識はそろそろ見直すべきだ」と述べた

* 鉄道営業法第15条第2項は「乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合ニ限リ乗車スルコトヲ得」と定める。立っては乗れないと読める文章だが、現状の法解釈では“乗客に着席の権利があると定めるものであり、鉄道事業者に席を確保する義務を課しているわけではない”とされている。