全3666文字
PR

 2027年の開業に向けリニア中央新幹線の工事と試験車両開発が進んでいる。同新幹線のベースである浮上式鉄道技術は、鉄道総合技術研究所(鉄道総研、東京都国分寺市)とJR東海が共同で開発してきたものだ(図1)。JR東海が開業に向け技術の仕上げを急ぐ一方、鉄道総研はリニアの将来を展望する研究開発を続けると共に、関連技術を在来方式(鉄輪)の鉄道など他分野に幅広く展開する方向へ軸足をシフトしている。

図1 山梨実験線を走ったリニアモーターカーの試作車「MLX01」
図1 山梨実験線を走ったリニアモーターカーの試作車「MLX01」
(写真:加藤康)
[画像のクリックで拡大表示]

 浮上式鉄道技術のための重要技術として開発されたのは、超電導磁石、リニアモーター、非接触給電(誘導集電)などだ(図2)。超電導磁石は、車体を浮上させて自重を支える強力な力を生み出す電磁石。そのために電気抵抗のない超電導材料を利用した。浮上した状態の車体を駆動する技術がリニアモーターである。

図2 浮上式鉄道のために開発した技術
図2 浮上式鉄道のために開発した技術
浮上のための超電導磁石、車両への電源供給のための非接触給電、駆動装置であるリニアモーターなどが、他の分野へ展開可能。(鉄道総合技術研究所の資料を基に一部編集)
[画像のクリックで拡大表示]

 さらに車内で使う電力を車外から供給する仕組みが非接触給電。リニア中央新幹線の試験車はこれまで車内で使う電力のためにガスタービン発電機を搭載していたが、2020年3月にJR東海が公開した改良型試験車ではこれを全面的に廃止、新技術である非接触給電に切り替えた。

 これらの重要技術について、鉄道総研はリニア新幹線以外への適用を模索している。浮上式鉄道の建設や運用コストを下げ、普及を促進するという意味ではむしろ積極的に他の分野と共用できる方が望ましい。