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「需要減少に不安を覚える」「テストに使用する部品を海外から調達できず、開発もままならない」─ 。アンケート調査の自由回答には、サプライチェーンの寸断の行く先に見える「開発ストップ」や「需要の減少」に不安を覚える声が目立った。特に興味深い回答について電子メールで追加取材。製造業の最前線に立つ経営者や設計者、製造・工場の現場に立つ作業者などの生の声を紹介する。

 需要減 

イベント中止で販売チャネルが消失

 サプライチェーンの寸断よりも、ものを買ってもらえない市場の冷え込みを心配している。

 当社は、大手ハウスメーカーを主力の受注先とする家具メーカーだ。大きな受注機会となっていたのが各ハウスメーカーが開催する家具の販売会だった。

 注文した住宅が数カ月後に竣工する予定の建て主が、大勢来場して家具を選び、フルセットで購入する。住宅の新築棟数が減少し始めてから、大手ハウスメーカーが客単価を高めて利益率を上げるために住宅と家具をセットで売る仕組みを作り出した。家具メーカーにとっては、まとまった売り上げを確保する最大の機会となっている。

 ところが新型コロナ流行の影響で今夏までの販売会はほぼ全て開催見合わせとなった。当社をはじめ多くの家具メーカーが、主力の受注ルートを失った状況に陥っている。

 それでも発注してくれる数少ない顧客に対して、成約率を落とさないように努力している。今年の決算が赤字になるのは目に見えているが、赤字幅を雇用調整助成金などで補填して耐えしのぐ以外ないだろう。新型コロナに対する処方薬・ワクチンが流通し始めるなどして、明るい兆しが見えてきた時に備えて力を溜めておく期間だと考えている。

(家具メーカー、品質保証・品質管理)

 需要減   生産停止 

顧客への4M申請が障害に

 顧客の4M(人、機械、方法、材料)申請の承認が、柔軟な調達先変更の障害となっている。

 顧客は自動車メーカーだ。材料や加工方法などの変更には顧客への申請が前提となっており、緊急事態でも工程を変更する場合は何をどう変えるのかあらかじめ申請し、審査を受けて承認を受けた上で実施する決まりだ。原則として3カ月前の事前申請が求められる。

 通常であれば、メーカーによっては柔軟に承認を受けられるケースもある。しかし、新型コロナ流行の影響を受けて状況があまりにも目まぐるしく変わると、そもそも状況に合わせた迅速な申請ができない。顧客のライン停止によって減産を余儀なくされており、取引先への発注も減らしている。

 協力会社がどこまでこの状況に耐えられるのか心配している。国内外を問わず、操業できていないメーカーもある。今後の安定調達を考えるとBCM(事業継続マネジメント)対応ができない取引先は、見直しの対象になるだろう。

(総合電機・家電メーカー、製造・工場)

 需要減   国内回帰 

中国製部品の入手困難で仕掛品のまま出荷できない

 当社はモーターの部品製造を手掛けている。新型コロナ流行の影響で、モーターのケースのような中国製部品を入手できず、仕掛品のまま出荷できずに在庫化したり、出荷がキャンセルになったりする状況が発生している。

 顧客からは、国内調達可能な部品への全面変更を指示されている。そのため現状の仕掛品は未出荷状態で在庫品になっており、資材仕入れ後のキャンセルもあり得ると懸念している。

(機械部品・電子部品メーカー、経営)