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新型コロナの感染拡大に伴い、最前線の医療現場で逼迫(ひっぱく)しているフェースシールドやマスクなどの医療機器や器具の製造に、自動車メーカーなどが取り組む動きが活発だ(表)。医療関係者の飛沫感染を防ぐためのマスクやフェースシールド、人工呼吸器、簡易間仕切りなど、その製品は多岐にわたる。
感染者移送用の車両を提供
トヨタ自動車やホンダは、新型コロナの感染者移送用の車両を医療機関や自治体に提供している。
新型コロナの感染拡大が続く中、医療体制の崩壊を防ぐため、症状が軽い感染者(軽症感染者)や症状が出ていない感染者(無症状感染者)を、医療機関からホテルなどの宿泊施設に移す取り組みが全国で始まった。
その際に救急車を使うと、運転者など同乗者の感染防止対策が必要になる。また、救急車の出動能力には限りがあるため、感染者が増えると搬送に支障が出る恐れがある。
新型コロナの治療に取り組む医療現場を支援するためにホンダが造った車両は、中型ミニバンの「オデッセイ」や「ステップワゴン」などを改良したものだ。前席と後席の間に仕切り用のパネルを設置。前席の車内空間と後席の車内空間の気圧に圧力差を設けることで、感染者が乗る後席から前席へのウイルスの飛散を防ぐ(図1)。
2020年4月13日に導入した東京都の港区・渋谷区に続き、同年4月17日には同江東区と埼玉県、神奈川県が導入。同日にはタクシー・ハイヤー事業者の日本交通(東京・千代田)が、ホンダの車両を使って感染者を搬送する業務を、東京都から受託したと発表した。