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 新型コロナは、1種の強烈な「イベント」だ。こうしたイベントによって、働き方改革のような「トレンド」が急激に動き出している。そもそも外資系企業ではリモートワークはごく当たり前。日本ではなかなか広がらなかったが、それが進む良い機会ともいえる。

しまだ・たろう:1990年に新明和工業入社、同年9月にSDRC入社。2010年にシーメンス インダストリーソフトウェア日本法人の代表取締役社長兼米国本社副社長に就任。シーメンス専務執行役員などを経て、2018年10月に東芝に移籍。2019年4月、執行役常務、最高デジタル責任者、サイバーフィジカルシステム推進部長に就任。同年10月、東芝デジタルソリューションズ取締役常務。2020年4月から現職。(出所:オンラインでのインタビューから)
しまだ・たろう:1990年に新明和工業入社、同年9月にSDRC入社。2010年にシーメンス インダストリーソフトウェア日本法人の代表取締役社長兼米国本社副社長に就任。シーメンス専務執行役員などを経て、2018年10月に東芝に移籍。2019年4月、執行役常務、最高デジタル責任者、サイバーフィジカルシステム推進部長に就任。同年10月、東芝デジタルソリューションズ取締役常務。2020年4月から現職。(出所:オンラインでのインタビューから)

 現在(2020年5月中旬)、東芝全体としては出社率が40%を切ろうとしている。工場によっては週休3日にしたり、研究開発部門は出社率を5%まで抑えたりと、どうしても必要な場合だけ出社する体制を敷いている。東芝デジタルソリューションズでも、出社率は3割ほどで稼働させている。研究開発部門では出社率5%を目指している。

 ただし、製品開発部門で紙図面や古い2D図面を参照したり、巨大な3Dモデルを扱ったりする場合は難しい。ワークステーションを持ち帰るなどしても、大容量データの読み込み・保存に時間がかかる。シンクライアントで3D-CADを稼働させると、通信速度の制約から操作の遅延があって作業しにくい。

* シンクライアント ユーザーが使用するクライアント端末には大容量の記憶媒体を搭載せず、サーバー側にほとんどの処理を集中させるシステムアーキテクチャ。

海外駐在員は本当に要るか

 働き方改革という観点で今の東芝社内の空気は「イケイケ」だ。リモートワークがどこまで実現できるか試そうという雰囲気になっている。そうした盛り上がり自体は良いことだ。無駄や惰性で続いている習慣などを洗い出して見直す契機にもなっている。例えば、今は帰国した海外駐在員が現地法人に戻れない状態だが、それでも操業できている。

 一番重要なのはプロセスの見直しだ。例えば見積もりの確認は対面でなくていいという企業が増えている。特に日本は必要もないのに対面でやっている仕事が多いので、これを機にそういう無駄を一掃したい。不要な作業を削って、その分、余裕ができればいろいろなイノベーションが生まれる。もちろん準備やルールが必要だし、管理の仕方なども変えるべきだ。

 一方、工場でのリモートワークは難しい。自動化についても、特にロボットによるそれには、さまざまなブレークスルーがまだまだ必要で、急激に進むとは考えていない。それ以前にカイゼンや工程の単純化などが求められる。本当に必要な作業なのかといった見直しも必要だ。工場はなかなか変わらないが、変えなくてはならない。少なくともここ数年進めてきたIoT化は進展するだろう。