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 当社は、基板の設計・製造技術を手掛けている。中国・武漢市の工場で主に車載向け基板などを生産していた。1月末に武漢市が突然封鎖され、その状態が2カ月余り続いた*1

*1 中国当局は、2020年1月23日に突如武漢市を封鎖した。封鎖が解除されたのは同年4月8日。
さかて・あつし:1996年にメイコー入社。海外工場の新規立ち上げ、生産革新活動や経営改革室長等を経て2012年10月から製造本部。2018年4月1から現職。  (出所:メイコー)
さかて・あつし:1996年にメイコー入社。海外工場の新規立ち上げ、生産革新活動や経営改革室長等を経て2012年10月から製造本部。2018年4月1から現職。 (出所:メイコー)

 武漢工場では当局の封鎖指示の前に春節の長期休暇に移行していた*2。しかし、春節明けの1月末になっても封鎖は解除されず、操業再開許可を得たのは3月23日。そこから一部工程を再開させた。長期休暇用に設備を整えていたため、稼働開始時に設備の故障などはなかった。工場は既に封鎖前と同等の生産体制に戻っている。操業の再開や製品出荷に当たっての不都合はなかった。サプライチェーンの寸断も起きていない。

*2 当初、2020年の春節は同月24〜30日の予定だったが、後に中国当局が2月2日まで延長を決めた。

 ただし、景気の落ち込みを受けて需要に勢いがない。工場の稼働率も封鎖前の5割ほど。特に自動車向けが低調で、今後およそ3割は落ち込むと予想している。当社は自動車向けの製品が売り上げの中で大きな割合を占めており、大幅な落ち込みは看過できない。対策を打っていくつもりだ。

納品には影響ないが

 幸い納品の遅延もほとんどない。ただし、それは当社の努力だけでなく、顧客の協力のおかげでもある。遅延を心配する顧客が当社国内工場から購入してくれた。日本の生産コストの差額分も上乗せして支払ってもらった。

 製品開発はインターネットを介して進めている。日本の従業員が遠隔でチェック・指導し、中国拠点の従業員が実働するという進め方だ。主にメッセンジャーアプリ「WeChat」を利用している。中国の現地従業員はデジタルツールの扱いに慣れている印象を受ける。ただし、遠隔では細かな部分の指摘などが難しい場合もあり、開発に少々時間がかかっているようだ。

 生産量については、顧客の見直しに応じて車載向け製品で少し変更が生じている。これから生産量が回復するかどうかは各国の政策次第だろう。今は新型コロナを封じ込めるために各国が感染症対策に専念している段階だ。そこから対策の軸足を経済へ切り替える際にどのような政策を採るかで市場が変わり、それに応じて当社の生産量も変わるとみている。

 世の中では生産能力の中国以外への分散も取り沙汰されている。しかし、生産能力分散は当社だけでは進められない。例えば、基板の絶縁層に使うエポキシ樹脂などは中国に生産が偏っている。とはいえ、日本の材料メーカーが中国への一国集中を見直した場合、当社もそれに応じて検討する可能性はある。