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 2020年に創業100年を迎えたマツダ。年間売上高3兆円を超え、従業員数も約5万人を抱える大企業だが、同社は自らを「業界のスモールプレーヤー」と表現する。実際、生産台数は年間150万台前後だが、世界市場でのシェアは2%に過ぎない。

 2020年5月14日に発表した2019年度(2020年3月期)の決算では、新型コロナウイルス感染症による市場の冷え込みの影響もあり販売台数は減少し、減収減益だった*1。しかし、新型コロナの影響に加えて、為替相場や材料価格の高騰といったマイナス要因が合計で900億円も積み上がった中で減益幅を400億円にまで圧縮できたのは「営業努力と原価低減などのオペレーションの努力があった」(マツダ)と総括する。2019年に発売した「MAZDA3」やSUV(スポーツ多目的車)「CX-30」の第7世代と呼ぶ新しい商品群の販売も好調だった(図1)。

*1 マツダの2019年度決算では、売上高は3兆4303億円(前年度は3兆5642億円)、営業利益が436億円(同823億円)。グローバルでの販売台数は対前年9%減の141万9000台(同156万1000台)だった。
図1 マツダの新型SUV「CX-30」
図1 マツダの新型SUV「CX-30」
2019年10月に発売した最新車種。第7世代商品群としては「MAZDA3」に続く第2弾の車種となる。2020年1月には「SKYACTIV-X」搭載車も発売している。(出所:マツダ)
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 小さな自動車メーカーであるマツダが厳しい世界での競争を勝ち抜いていくためには、「良い商品を十分にラインアップし、低コストで提供する」という製造業の基本を徹底するしかない。1000万台クラスの生産量を誇る巨大な自動車メーカーと同じ方法では太刀打ちできない。そこで「造りやすさを追求するものづくりからの転換を図り、顧客価値創出に貢献できるものづくりを目指して開発、生産の両部門が共同で取り組んできた」(マツダ取締役専務執行役員の菖蒲田清孝氏)。