新型コロナウイルス感染症の流行拡大を1つのきっかけに、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが製造業で加速しつつある。生産ラインのスマート化はもちろん在宅勤務やリモート立ち合い、工場の無人化やバーチャル展示会の開催など、従来の枠を越えた挑戦も始まった。製造業ならではの新たなDXの取り組みを探る。

製造業DXはじめました
目次
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他社のDXに惑わされない、主役はAI/IoTだけにあらず
Part1 動向
「デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)」というキーワードを旗印に、新たなデジタル技術の導入・活用を模索するものづくり企業が増えている。本誌のアンケートでも、6割以上がDXについて「取り組んでいる」または「今後取り組む予定がある」と答えた。
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データが取れれば不良は分かる、見えてきたスマート工場の成果
Part2 生産ラインの革新:安川電機
安川電機の入間事業所にある「安川ソリューションファクトリ」(埼玉県入間市、以下ソリューションファクトリ)は、同社のモーションコントロール事業の主力工場。ロボットやIoT(Internet of Things)、AI(人工知能)技術をふんだんに活用してサーボモーターやサーボアンプを生産する、同社のス…
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10億円投じて生産ラインを見える化、人員半減と生産2割増を両立
Part2 生産ラインの革新:住友ベークライト
住友ベークライトは国内4工場の生産ラインにIoT(Internet of Things)技術とAI(人工知能)を導入し、生産量を2割向上させた。1ライン当たり300〜500個ものセンサーを設置し、リアルタイムでの予兆保全と自動制御を実現した。投資額は約10億円。今後も数十億円をかけて、他の製品や海…
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検査の立ち会いもオンライン化、参加人数の拡大の利点も
Part3 新たな挑戦:リモート立ち会い
新型コロナの流行を機に、オンライン会議システムを駆使した「リモート立ち会い」の取り組みが始まっている。例えば、DMG森精機は「工作機械のデジタル立ち会い」を、OKIエンジニアリング(東京・練馬)は故障解析における「オンライン立会解析」を始めた。もともとは新型コロナ対応の苦肉の策だったが、コスト低減…
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相次ぐ展示会の中止にも負けない、仮想空間で広がる製造業の販路
Part3 新たな挑戦:バーチャル展示会
新型コロナの流行で展示会の中止が相次ぐ中、販路を広げる方法として「バーチャル展示会」をWebサイト上で公開するメーカーが増え始めている。来場者はPCのWebブラウザーやスマートフォンのアプリから展示会場に入る。画面を操作しながら、本物の展示会場の中を歩き回るようにバーチャル空間を移動して製品や技術…
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工場の3Dモデル化から点検、調達まで、生産現場のデジタル化を後押し
Part4 DX支援サービス続々
生産現場に限らず、点検や調達、教育などの幅広い分野で製造業のデジタル変革を支援する技術・サービスが充実してきた。人手不足の解消のみならず、新型コロナの感染対策においても活用が期待できそうだ。
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4割がDXに「既に取り組んでいる」 、課題は「技術不足」や「ツールの選択」
Part5 現場からの声:数字で見る現場
約4割の企業が既に「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に取り組んでいるものの、推進上の課題として「技術・ノウハウ不足」、次いで「ツールのコストや選択」や「必要な人材の不足」がある─。日経ものづくりが2020年7月初旬に実施したアンケート調査では、こんな実態が浮かび上がった。自由回答では、経…
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求められるITリテラシーと、経営者・幹部のリーダーシップ
Part5 現場からの声
「経営者のリーダーシップなくしてDXは成功しない」「現場を動かす部長・課長クラスの管理職にITリテラシーがなさ過ぎる」─ 。アンケートの自由記述欄には、DXの推進に当たってITリテラシーの必要性と、経営者・幹部のリーダーシップを求める声が目立った。特に興味深い回答について電子メールで追加取材。製造…