新型コロナの流行を機に、オンライン会議システムを駆使した「リモート立ち会い」の取り組みが始まっている。例えば、DMG森精機は「工作機械のデジタル立ち会い」を、OKIエンジニアリング(東京・練馬)は故障解析における「オンライン立会解析」を始めた。もともとは新型コロナ対応の苦肉の策だったが、コスト低減や大勢の関係者が集まりやすいといったデジタル化ならではの利点も見えてきた。
出荷前の検査を遠隔に
「既に英国やドイツ、日本の顧客を相手に十数件実施した。予想以上にうまくいっている」─。DMG森精機社長の森雅彦氏はデジタル立ち会いの手応えをこう話す。
これまで同社は、工作機械の出荷前検査を顧客の立ち会いの下で実施してきた。顧客側の担当者が数人ほど同社の工場を訪れ、一緒に検査を確認する。海外から来ることも珍しくなかった。ところが、新型コロナの流行でそれが難しくなった。そこで導入したのが、オンライン会議システムを活用したデジタル立ち会いだ(図1)。
工作機械に搭載してあるカメラの他、ハンディーカメラで撮った映像をリアルタイムに顧客と共有。顧客は納入予定の工作機械と周辺設備について、リモートで動作を確認したり疑問点を聞いたりする。顧客情報を守るために専用回線を用いるなど、セキュリティー面にも配慮した。
出張を伴う従来の立ち会いでは、顧客側で参加できるのはせいぜい3〜4人だったが、リモートならば、さらに多くの顧客側の関係者が立ち会える*1。予想外にメリットが多いと分かったため、同社は新型コロナ収束後もデジタル立ち会いを活用する方針だ。