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造形材料 

 前述のように、材料噴射法の造形材料は光硬化性樹脂とワックスに大きく分かれる。以下では、それぞれの材料の概要を解説する。

光硬化性樹脂

 かつては半透明が一般的だったが、近年は色の付いた樹脂やゴムのような軟らかい素材、エンジニアリングプラスチックに近いものなど、さまざまな特性を持つ材料が登場している。色付きの樹脂の登場により、量産品の成形色などの再現や、フルカラーでの表現が可能となった。また、使える造形材料が多彩になり、産業用の試作だけではなく、医療用途などの先進的な分野における実用品の造形にも活用されている。

 紫外線で硬化する特性上、造形物は太陽光下での劣化が起こりやすく、注意が必要である。材料噴射法の光硬化性樹脂はアクリレート系光硬化性樹脂から成り、紫外線の照射により1秒足らずという極めて短時間でラジカル重合反応が進行するものの、反応率は高々80%程度に留まる。アクリレート化合物のラジカル重合反応は急激に進むため、反応途中でひずみやそり、収縮が発生しやすい。その後、未反応部が時間経過とともにゆっくりと反応する。

 一般的なアクリル樹脂は、透明性とともに耐久性・耐水性に優れており、加工性も高い優れた素材で、研磨、着色、接着などにも適応している。ただし、材料噴射法で用いられる光硬化性のアクリレート系樹脂で透明性が高い立体モデルを造形するには、造形条件などでの工夫が必要である。また、インクジェット方式のため吐出時の樹脂粘度に大きな制約があり、造形物の耐水性が低いものが多く、高湿度環境下での取り扱いに注意が必要である。

 アクリレート系光硬化性樹脂にはのような造形材料があり、その特性は液槽光重合法の造形材料の特性と近似している。

表 材料噴射法で使用できる主な光硬化性樹脂
(出所:ACSP)
表 材料噴射法で使用できる主な光硬化性樹脂
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 例えば、「ABSライク樹脂」はABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂に近似した性能を有するが、あくまでも機能的に近似している樹脂であり、造形モデルの物性値はABSで作られたものとは違うという点を認識して使用する必要がある。また、「PPライク樹脂」は、高い柔軟性と強度というPP(ポリプロピレン)に近似した性能を有するが、ABSライク樹脂と同様、PPとは物性値が異なる。

ワックス

 材料噴射法でのワックスは、精密鋳造(ロストワックス法)の消失モデルを造形する際に用いられる場合が多い。材料噴射法の特徴を生かした、精細で高精度なロストワックス用モデルが造形できる。宝飾や歯科系の用途に適している。