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サポート部の除去

 材料噴射法のアディティブ製造装置では、基本的に立体モデルとサポート部を異なる材料で造形する。このため、サポート部の材料によってその除去のための後工程が異なる。熱を加えて溶かす、水または薬品などで溶かす、ウォータージェットなどで物理的に除去するなど、多彩な方法がある。指先や竹串などを使用して取る場合もある。それぞれに長所と短所がある。

 例えば、熱を加えて溶かすタイプは非常に微細な造形ができる一方、その熱(60℃前後)によって微細な部分が変形したり、ヒケや反りが発生したりする場合がある。無事にサポート部を除去できても、構造が微細な部分は可搬性が著しく劣るため、用途に応じた構造や補強などを設計とは別に考慮する必要がある。なお、立体モデル全ての表面を均一に仕上げるにはサンドペーパーなどで磨く必要がある。微細形状部位は磨き工程で破損する可能性も高く、注意が必要である。以下では、主要なサポート材の除去方法として「温めて溶かす方法」「水に溶かす方法」「ウォータージェットで分離する方法」について解説する。

《温めて溶かす方法》

 サポート材がワックスである場合は、造形材料とサポート材の溶融温度差を利用する。造形後はサポート材が固まっていて手で剥がすのは難しいが、造形物を温めることによってサポート材のみを溶かせる。具体的には、送風恒温器に入れたり、ヒートガンを使用したりする(図3)。高温の水蒸気を発生させる装置の中に入れる場合もある。

図3 材料噴射法におけるサポート材の除去(温めて溶かす場合)
図3 材料噴射法におけるサポート材の除去(温めて溶かす場合)
送風恒温器に入れたり、ヒートガンを使用したりする。微細な造形でも、外部からの力が加わらないため造形物が壊れにくい。(出所:ACSP)
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 造形物の狭い隙間の中に入り込んでいるサポート材も、溶かすことにより流れ出る。外部から力が加わらないため、微細な造形物でも壊れにくい。ただし、サポート材の流れ出る開口部がない形状(密閉された空洞部など)では、内部にサポート材が残ってしまう。

 送風恒温器等で処理し切れなかったサポート材を除去するには、サラダ油またはコーン油などの植物性食用油または洗浄液を入れた超音波洗浄機に造形物を入れ、表面に付着しているサポート材を除去する。それにより造形物の表面被膜部分のサポート材が油と溶融し、油側に吸着され、除去される。その後、表面に付いた油または洗浄液は中性洗剤などで洗い流し、乾燥させる。

《水に溶かす方法》

 水に漬けてサポート材を溶かす方法では、時間短縮のために、まずは塊でサポート材が付いている部分についてヘラなどを使用して大まかに除去する。

 水溶性のサポート材を採用している装置の中には、サポート部の側面(外周面)に「シェル」と呼ぶ壁を造形する場合がある。シェルは立体モデルと同じ造形材料を使っており、水には溶けない。これは、空気中の水分に触れたサポート材が溶け出すことを防ぐためにあり、この場合は、サポート部除去のために水に漬ける前に、シェルを手で剥がしておく。

 水に漬け置きしただけではサポート除去に時間がかかるが、メーカー指定の洗浄機を使用し、水を撹拌(かくはん)することで除去時間の短縮が可能である。水溶性サポート材と表記されていても、水だけでは取りきれないサポート部もあり、メーカーが指定した薬品を添加する場合もある。

 サポート除去後には乾燥させる。表面に残留したサポート材が白濁する場合があり、その際は紙やすりなどで磨く。造形物がべたつく場合は、市販の脱脂剤をかけるとよい。