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 今回は、薄いシート状の材料を断面形状の輪郭線で切断し、シート状の断面形状を接合、積層していくことで立体モデルを造形する「シート積層法」について解説する(図1)。シート材は比較的安価に供給されているため、造形コストを抑えられる。紙や金属といった材料を使う装置が実用化されている。

図1 シート積層法における造形プロセス例
図1 シート積層法における造形プロセス例
薄いシート状の材料を断面形状の輪郭線で切断し、シート状の断面形状を接合、積層していくことで立体モデルを造形する。(出所:ACSP)
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造形プロセス

 シート積層法の造形材料としては、紙や金属、樹脂など、シート状であれば原理的にはどのような材料でも使用できる。断面形状を切断する方法もカッターやレーザーなどが考えられ、接合する方法は接着や溶着など材料に応じて変わってくる。

 シート材の厚さ(厳密には、接着剤も含めた厚さ)が、積層ピッチとなる。また、造形完了後に余分な材料を除去しやすいように、立体モデルとなる部分以外にも分割(切断)線を入れておく必要がある。

 供給するシートを造形中に変更すれば、積層方向に異なる、複数の材料から成る立体モデルの造形も可能である。さらに、1層分を1枚のシートで供給するのではなく、テープのように細長い材料にすれば、同じ層の中でも異なる材料で構成できる。

フルカラー化も可能

 紙を使ったシート積層法のアディティブ製造装置では、フルカラーの立体モデルを造形できる(図2)。具体的なプロセスは次のようになる。

図2 紙を造形材料とするシート積層法で造ったフルカラーの立体モデル
図2 紙を造形材料とするシート積層法で造ったフルカラーの立体モデル
積層前に紙をカラープリンターで印刷しておくことで、フルカラー化を実現する。(出所:日経ものづくり)
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 まず、断面形状(1枚1枚の紙)において立体モデルの表面に相当する部分(輪郭線)にインクジェット・プリンターで色をつける。この時、輪郭線部分に加えて、位置合わせ用のマークも紙の四隅に印刷しておく。

 装置本体では紙を1枚ずつ、造形エリアに移動させていく。この際、前述のマークを参照して位置決めし、輪郭線の相対的な位置精度を保つ。

 造形開始後、造形エリアに運ばれた第1層目の紙は、まずカッターによって輪郭線が切断され、その後、上面に接着剤を塗布される。切断時には輪郭線のほか、立体モデル(断面形状の輪郭線)の外の部分にも分割線(切り込み)が入れられる。これは、造形完了後に立体モデルを取り出しやすくする、つまり、立体モデル部分以外を排除しやすくするためである。同様の理由で、接着剤は立体モデルの外側にも塗布される。

 接着剤は、例えば周囲に突起が付いた小さな円板状の部品を紙表面に接触させて塗布する。突起先端に接着剤を付け、円板を少しずつ回転させながら紙に押し付ける方法である。このため、紙の表面にはドット状に接着剤が塗布されることになるが、断面形状の部分は密度が高く、それ以外の部分は密度が低くなるように、円板の動きを制御する。

 この状態で、次の層の紙を造形エリアに搬送して上に重ねる。さらに、次の層の紙を積層済みの紙に押し付ける。これにより、積層済みの紙の上面に塗布されている接着剤で次の層の紙が固定されることになる。

 この「固定された紙に輪郭線の切り込みを入れて上面に接着剤を塗り、次の層の紙を重ねて固定」というプロセスの繰り返しで造形を進めていく。