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 アディティブ製造装置(3Dプリンター)による立体モデルの造形を成功させるためには、造形方法や機種の違いを理解するとともに、材料の特性なども熟知する必要がある。これらを正しく理解すれば、アディティブ製造の特徴を十分に生かした新しい機能やカタチ(設計や構造など)を生み出せる。ここでは、アディティブ製造を活用するためのデータ準備や造形時のコツと注意点、さらには造形サービス(出力ビューロー)を依頼する際の注意点などを解説する。

同種の材料でも色や硬度で最適条件が異なる

 意外と知られていないのが、同種の造形材料でも色や硬度によって、適切な材料の溶解温度が異なる点である。

 例えば、個人でも購入できるようになった低価格なアディティブ製造装置として最も普及している材料押出(熱溶解積層)法で説明する。同方式のアディティブ製造装置は比較的簡単な構造で取り扱いも容易ではあるが、装置本体および環境温度の管理や、適切なサポート部の配置などにノウハウが必要である。

 さまざまなカラーの材料が市場に出回っているPLA(ポリ乳酸)のフィラメントを例に挙げると、白色やナチュラル色、ネオングリーン色およびイエロー色などの蛍光色のフィラメントでは、同じ温度で溶解すると造形結果が異なることが多い。これは着色のための含有物の違いにより、適切な溶解温度が微妙に異なっているからである。

 しかし、アディティブ製造装置に標準搭載されるソフトウエアの基本設定値では、これらの微妙な温度設定を考慮した値を用意しているものは少ない。結果、実際に利用するアディティブ製造装置の機種とスライサー、そして造形材料の組み合わせを試行して自ら最適な設定温度を探さなければ、良質な造形結果を得られないことが多い。

 軟らかいゴムライクのものや、銅や真鍮(しんちゅう)、グラファイトなどを混合した材料など、PLAをベースに物性を変えた造形材料もある。これらも全て、適切な溶解温度が異なる(図1)。さらに細かい注意点を述べると、造形材料によっては造形速度も調整する必要がある。

図1 さまざまな材料で造形した立体モデル。
図1 さまざまな材料で造形した立体モデル。
PLA(ポリ乳酸)であるのは共通だが、ゴムライク、グラファイト混合、銅混合、真鍮混合といった種類がある。溶解温度などの造形条件が変わってくる。(出所:ACSP)
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 これらの課題はいずれ装置メーカーが解決していくと思われるが、当面はこうした課題があることを利用者も知っておく必要がある。