自動車のパワートレーンとしてモーターを使用する電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)など、電動車の市場規模は着実に拡大している。電子・電気部品の搭載量が増える一方で、機械部品は減っていくだろう。これまで自動車産業を支えてきた機械系の部品メーカーに大きな変革の嵐が襲い掛かろうとしている。
必要になるのは、EVに代表される電動車が主流になる時代(以下、EV時代)において、そこで使われる部品に対するニーズを先取りし、自社の保有技術を生かしながら変えるべきところを変えて、発展させていく姿勢だ。本特集では軸受での取り組みを中心に、EV時代における機械技術(メカ技術)について探る。
電動車に機械部品は必要
本格的なEV時代を迎えるに当たって、機械系部品メーカーにどのような影響が表れるかを考えてみよう。そこでは、大きく3つの切り口がある(図1)。
最も大きいのが、構成部品の変化だ。EVではエンジンの代わりにモーターが搭載され、付随して燃料タンクはバッテリーへと置き換わる。このため、例えばエンジンを構成する部品はEVでは使われなくなり、自動車業界全体で見ても数が減っていく。
EVの構成部品点数は、エンジン車よりも少なくなると言われてはいるが、それでも数万点はある。「走る」「曲がる」「止まる」という自動車の基本性能を実現するためには多くの機械系部品が必要だ。
例えば軸受。エンジンよりも数は減るが、モーターでも不可欠な部品だ。ただしエンジンの軸受をそのままモーターに使うわけではない。ここで必要となってくるのが、EVに対応した進化である。