品質やコスト、納期を守れなくなるゲンバに共通するのは基礎力の低下、いわば「ものづくり1.0」の弱体化だ。ものづくりの現場を良く知る経営コンサルタントの古谷氏が、現場が崩壊する原因とその処方箋を解説する。
ジェムコ日本経営 本部長コンサルタント
品質やコスト、納期を守れなくなるゲンバに共通するのは基礎力の低下、いわば「ものづくり1.0」の弱体化だ。ものづくりの現場を良く知る経営コンサルタントの古谷氏が、現場が崩壊する原因とその処方箋を解説する。
最終回
優れた金属加工技術を持つ工場がある。これをH工場と呼ぼう。H工場の歴史は長く、先人が苦労して積み上げてきた加工技術のおかげで、業界内の評判は高い。一方で、その長い歴史故の弊害も生じていた。
第7回
優れた技術を持ち、多くの顧客から信頼を得ている工場がある。これをG工場と呼ぼう。G工場は、幅広い産業の裾野を支える製品の加工を得意としている。その実力は、国内外の有力企業から「ぜひG工場でやってもらいたい」と指名を受けるほど。景気の良いときには休む間もなく操業していた。
第6回
ある企業は「顧客隣接型」、すなわち顧客に近い地域に生産拠点を置いていた。その海外工場の1つをF工場と呼ぼう。ある時、F工場の立地する国で問題が発生した。流行性の風邪がまん延したのである。この影響を受け、F工場では従業員の多くが1週間程度の病欠を余儀なくされた。しかも、肝心な時に現場のキーパーソンも…
第5回
技術に定評があるE工場は多くの熟練作業者を抱えており、長い間、新しい社員を増やさず操業を続けていた。ところが、時間が経つにつれて社員の多くが60歳前後となり、最も若い人ですら40代といういびつな年齢構成になった。そのため、もっぱらベテラン社員が、日々顧客から寄せられる難しい要求に応える状況となって…
第4回
今回は機械装置を組み立てているD工場の事例を紹介しよう。同工場では加工設備を使う場合もあるが、複雑な生産工程の多くを手作業での組み立てや調整に依存している。人による作業が多いこともあって、生産工程に関わる改善活動が盛んだった。
第3回
今回は、情報が共有されずトラブルが続発したC工場の事例をみていく。まず、同工場の人員構成について説明しよう。トップである製造部長の傘下に複数の「課」があり、それぞれに課長がいる。課長の下には数人の職場リーダーが、さらにその下には数人~十数人の職場メンバーが所属しているという構成だ。
第2回
今回は、生産現場のメンバーの結束力がとても強い工場(B工場)で納期遅れが生じた事例をみてみよう。
第1回
日々、数多くの種類の製品を生産している工場がある。これをA工場と呼ぼう。品種ごとの生産数量はばらばらで、同一品種を大量に造る注文もあれば、多品種少量の注文もある。A工場は受注生産が基本。このため計画生産が難しく、多くの場合、納期に余裕のない状態で受注しているのが実情だ。納期や数量の変更なども多く、…