1 指揮系統が乱れた経緯
今回は、情報が共有されずトラブルが続発したC工場の事例をみていく。まず、同工場の人員構成について説明しよう(図1)。トップである製造部長の傘下に複数の「課」があり、それぞれに課長がいる。課長の下には数人の職場リーダーが、さらにその下には数人~十数人の職場メンバーが所属しているという構成だ。
同工場では、毎日の始業時に「朝会」と呼ぶ朝礼を実施していた。その日の生産の段取りをはじめ、品質に関する注意を伝える重要な機会である。時間は5~10分と短いものの、情報伝達の場として重視する製造部長のX氏が、自ら取り仕切っていた。