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 カシオ計算機は、腕時計の生産サイクルを従来の3分の2へと一気に短縮する生産改革を実施する。デジタル技術をフルに活用し、生産準備と製造の工程を圧縮。これまで3カ月かかっていた生産計画の決定から出荷までの期間(製造リードタイム、以下、リードタイム)を、2カ月に短くする。2020年6月に改革プロジェクトを発足し、21年4月から実施する計画だ(図1)。

図1 カシオ計算機が2020年6月に開始した改革プロジェクト
図1 カシオ計算機が2020年6月に開始した改革プロジェクト
工場のスマート化を中核に、マーケットからの情報の質を高めて工場に直結し(図の左上)、サプライヤーとの協力体制もてこ入れする(右上)。加えて、これらの改革に続いて開発設計との連携も強化する(右下)(出所:カシオ計算機、中央の写真:日経ものづくり)
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 改革の中核は、自動生産ラインの導入などでスマート化した工場である(図2)。営業部隊からの需要情報を工場に直結し、生産に着手する前の準備期間を短縮する。部品を生産するサプライヤーとの間で緊密に情報をやり取りできるように情報システムを整備し、部品が入荷するまでの時間も短くする。加えて、製品を組み立てる時間も自動化ラインによって短縮する考えである。

図2 山形カシオ(山形県東根市)の自動化生産ライン
図2 山形カシオ(山形県東根市)の自動化生産ライン
普及価格帯の腕時計を全自動で組み立てる(出所:日経ものづくり)
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