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「ハードルが高いのは分かっていたが、なんとかしたかった」─。産業用ロボットや工作機械向けの鋳物部品を造っている栗田産業(静岡市)取締役副社長の栗田圭氏はそう話す。同社は2020年春から自社工場(静岡県御前崎市、図1)の鋳造設備のIoT化に取り組んでいる。
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図1 栗田産業の鋳造工程と社屋
(a)溶かした鉄(溶湯)を取鍋(とりべ)に注いでいるところ。(b)デジタル化を主導する副社長の栗田圭氏(左)とIoT推進室主任の森下篤史氏。(出所:日経ものづくり)
対象はこの工場で数十年間稼働し続けているショットブラストや電気炉など。同社はこれらの設備自体には手を加えず、アナログの制御盤などの表示をAI(人工知能)画像認識で把握してデジタル化、設備の稼働状況をリアルタイムで遠隔把握できるようにした。機材は市販のPC用Webカメラや小型PCボードの「Raspberry Pi」(通称、ラズパイ、図2)を使い、格安でレトロフィットIoTを成功させているのも特徴だ。
図2 設備情報読み取りシステムに使った機材
カメラは市販のPC用Webカメラ(a)で画面解像度1280×720ピクセル、視野角60°の製品。データ処理は安価な小型PCボード「Raspberry Pi 3B+」(もしくは「同4B」)で行っている。(出所:アンビエントデーター)
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