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焼入れ・焼戻し

【やきいれ・やきもどし】金属材料に熱を加えてから冷やす熱処理の一種。硬さと粘り強さを両立させるため、高温状態から一気に急冷する処理である。

 熱処理に詳しくなくても、焼入れ・焼戻しという言葉に聞き覚えのある人はいるだろう。日本刀の製作風景を思い出して欲しい。赤く熱した日本刀を、水の中に差し込んで一気に冷やす。この工程がまさに、焼入れ・焼戻しにあたる。

 熱処理には様々な手法があり、その対象となる材料も多岐にわたる。そのため細かな違いについてはうろ覚えだったり、意味を取り違えていたりしているケースをよく見かける。ここでは金属材料かつ部品全体に熱処理を施す場合に絞って、[1]焼入れ・焼戻し、[2]焼なまし、[3]焼ならしの3手法を取り上げる。これらの違いをひと言でいえば「冷却速度」が異なる()。

図 熱処理の種類による冷却速度の違い
図 熱処理の種類による冷却速度の違い
焼入れ・焼戻しは水冷や油冷で「急冷」する場合が多く、焼ならしは「空冷」でゆっくり冷やす。焼なましでは「炉冷」を用い、空冷よりもさらに時間をかけて冷却する。(出所:西村仁)
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 [1]~[3]とも、「加熱」「保温」「冷却」というプロセスを経るのが基本となる。ただし、加熱速度や冷却速度、加熱温度などの条件が異なる。前述のように、特に異なるのが冷却速度だ。[1]焼入れ・焼戻しは「急冷」*1、[2]焼なましは「炉冷」*2、[3]焼ならしは「空冷」させる。急冷・空冷・炉冷の順番に、冷却時間が短い。

*1 急冷には、水冷や油冷といった手法がある。
*2 炉冷は、炉の中に入れたまま冷却する手法。半日や1日をかけてゆっくり冷やす場合もある。

 以下では、3つの熱処理についてもう少し詳しく説明していこう。