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2050年のカーボンニュートラル実現に向けた動きは、エネルギーに関わる産業にとっては「ゲームチェンジ」の始まりだ。新たな覇者を目指して各国が技術の開発にしのぎを削っている。日本の課題や世界の動きを、アーサー・ディ・リトル・ジャパンが解説する。(編集部)

 カーボンニュートラル実現を目指す上で日本企業の最大の問題点は、従来の延長・枠組みの中で考えてしまい、思い切った手を打てないこと。総じて「自社の業務プロセスをどう低炭素化するか」とこれまでの環境規制の延長線上で捉える企業が目立つ。

 今始まっているのは新たな社会価値・経営価値を創り出す動きである。規制対応という「最低限」の取り組みでは乗り切れない。新しい価値を生み出して社会や投資家に積極的に選んでもらえなければ生き残れない、厳しい競争が始まったと考えるべきだ。

再エネ、蓄電池技術が劇的に進化

 では、カーボンニュートラル実現の鍵となる技術は何か。真っ先に挙げられるのは再生可能エネルギー(再エネ)である。投資家らの資金も再エネにシフトしており、劇的なコストダウンが進んでいる。

 蓄電池(2次電池)も大幅なコストダウンが進む。背景には中国による電気自動車(EV)産業の強力な推進があり、EVの大量生産に合わせて蓄電池のコストが下がり続けている。全固体電池など次世代リチウムイオン2次電池(LiB)の実用化も射程圏内だ。

 一方で死角なのが、再エネや蓄電池それ自体のカーボンニュートラル化である。これらのリユースやリサイクルへの本格的な取り組みはこれから。特に蓄電池は製造過程で多くの二酸化炭素(CO2)を排出する。

 欧州は自動車に対してライフサイクル全体を考慮した環境評価(LCA:Life Cycle Assessment)規制の導入を検討しており、それに伴って蓄電池に対しても製造段階のリサイクル材料比率などを規制するとみられる。今後は、リサイクルを考慮した製品の再開発やサプライチェーン(部品供給網)の再構築が求められるだろう。