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 水素をエネルギーとして多用途で使う「水素社会」。温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「脱炭素社会」の実現手段の1つとして注目を集めている。その「本命」との見方が強いのが、水素と空気中の酸素の化学反応で電気を取り出す燃料電池(Fuel Cell、以下FC)だ。

 FCを搭載した燃料電池車(FCV)は走行中のみならず、ライフサイクルで二酸化炭素(CO2)排出量を評価する「LCA(Life Cycle Assessment)」で見てもガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車よりも環境性に優れる。

トヨタが攻勢、FCモジュールを外販へ

 「誰もが使いやすいFC技術へ進化を遂げるため、(他社への)展開性を強化して仲間づくりを進めていく」─。こう語気を強めたのは、トヨタ自動車(以下、トヨタ)商用ZEV製品開発部部長の吉田耕平氏だ。

 トヨタの基盤は、2020年12月に発売した乗用FCVの2代目「MIRAI(ミライ)」に搭載する「第2世代」のFCシステム()。酸素との化学反応で発電するFCスタックを高性能化しつつ小型・軽量化した。出力密度を3.5kW/Lから5.4kW/Lに高め、セル数を370個から330個に減らした。体積を約3割抑え、約4割の軽量化に成功している。

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図 トヨタ自動車の乗用燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」のプラットフォーム
(a)燃料電池(FC)システムとプラットフォーム。水素と空気中の酸素を化学反応させるFCスタックで発電し、駆動用モーターを動かす。航続距離はWLTCモードで約850km(Gグレードの場合、Zグレードは約750km)とし、先代車より3割向上した。(b)トヨタが外販を予定する心臓部のFCモジュール。〔(a)出所:トヨタ自動車、(b)写真:日経クロステック〕