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 カーボンニュートラルに向けて、藻類の1種であるミドリムシ(学名:ユーグレナ)を使った「ミドリムシ樹脂」の研究開発が加速しはじめた。2021年3月、バイオベンチャーのユーグレナがセイコーエプソンやNECなど10社以上と協議体「パラレジンジャパンコンソーシアム」を設立。培養液や原料、中間材の規格化を目指し、30年に年間20万t規模を供給したい考えだ。

ミドリムシ由来の多糖類

 ユーグレナなどが開発するミドリムシ樹脂「パラレジン(Pararesin)」は、ミドリムシを次のように活用する(図1)。まずミドリムシから、特有成分「パラミロン(Paramylon)」を得る。パラミロンは、β-1,3グルカンから成る多糖類*1だ。その後、パラミロンを誘導体化してパラレジンに変える。

図1 ミドリムシ樹脂「パラレジン」
図1 ミドリムシ樹脂「パラレジン」
ミドリムシから取り出した特有成分「パラミロン(Paramylon)」を誘導体化して得る。(出所:日経クロステック)
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*1 多糖類
ブドウ糖などの単糖分子が多数重合した物質の総称。デンプンやセルロースなどがある。生物による生合成産物として得られ、エネルギーの貯蔵物質、細胞壁や外皮などの構造物質として生物界に広く存在する。食品や工業製品などにも利用されている。

 こうして造ったパラレジンの強度や耐熱性といった物性は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂に近いという。金型内部での熱溶解時の流動性も高く、小さく複雑な形の部品にも成形しやすい(図2)。精製度合いによっては透明に近い色味も出せ、一般的な樹脂同様に色を変えられる。「ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)の物性に近いものの成形も期待できる」(ユーグレナ)とする。

図2 パラレジンの微少な成形品
図2 パラレジンの微少な成形品
パラレジンは流動性が高く、微少な部品の成形にも使える。(出所:ユーグレナ)
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 ミドリムシは光合成を行う、いわゆるバイオマスなのでパラレジンはバイオマスプラスチックである。パラレジン1tを石油由来のプラスチック同量と代替すれば、約1.86tの二酸化炭素(CO2)削減効果が得られる。今後研究が進めば、誘導体化時の調整によっては、微生物が分解可能な生分解性も持たせられるという。