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 「中国をはじめとした海外にもコスト競争で勝つ」。カワトT.P.C.(山口県岩国市)代表取締役の川戸俊彦氏は、2021年6月に稼働を開始した新工場の目的をこう語る。同工場では、水栓金具や継ぎ手などの小物で大ロットの金属部品の加工から検査、箱詰めまで一貫生産する自動化設備を導入(図1)。「従来よりも1割以上の低コスト化を実現した」(同氏)*1

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図1 カワトT.P.C.が導入した自動化設備
2021年6月の稼働開始時点で4台を導入しており、まずは24台まで増やす予定だ(a)。加工から検査、箱詰めまでを無人で行う。水栓金具や継ぎ手など、棒材から加工する大きさで大ロットの部品を加工する(b)。(出所:aはカワトT.P.C.、bは日経ものづくり)
*1 カワトT.P.C.は金属加工の他、マンションなどの配水管を組み立てた状態で配管キットとして納品する樹脂加工を主要事業としている。

 加えて、IoT(Internet of Things)やカメラなどを活用した遠隔監視システムの導入で工場のスマート化にも取り組む。自動化によって24時間365日の連続運転を実現する中で、「休日の余計な出勤を防いで完全週休2日制を実現する」(同氏)。平日についても、遠隔監視によって他の業務に集中できる時間を確保するのが狙いだ。

 「人件費を抑えるために自動化やIoT化を進めたわけではない」と同氏は語る。「無駄な出勤を減らす働き方改革、収集したデータに基づいた標準化を進め、雇用の幅を広げる」(同氏)のが同社の工場スマート化のコンセプトだ。