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 いま、AIやDXなどの導入プロジェクトで、PoC(Proof of Concept、概念検証)を実施してもそこから先へ進めなくなる「PoC止まり」が多くの企業で発生している。PoCは実際の導入の前にAIなどが課題解決に役立つかを事前検証する場であり、そこで効果を見極めた上で課題解決のための本番システム導入に進むというステップだ。机上で考えても分からないことをやってみる場だから、うまくいかない場合も当然あり得る。しかし、うまくいく場合があまりに少なく、課題を解決できるシステム導入に至らない、というのが問題になっている。

 その状況について「AIやDXの導入ありきで無理して課題を設定するから、PoCをやってもうまくいかないのでは」と、ヤマハ発動機生産技術本部設備技術部長の茨木康充氏は指摘する(図1)。そこでヤマハ発動機は、機械学習(ディープラーニング)による画像検査システム導入に当たって、手段と目的の逆転が発生しないようにした。既に社内の何カ所かで本番システムを運用しており、課題解決に結びつけている。

図1 新システム導入でよく生じる状況
図1 新システム導入でよく生じる状況
ヤマハ発動機生産技術本部設備技術部長の茨木康充氏による。(出所:ヤマハ発動機)
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