人工知能(AI)の活用が広がる中、製造業では熟練者が持つ技術の伝承にAIを役立てる動きが広がりつつある。人がAIを活用して技術を学ぶ仕組み作りだ。人の仕事をAIで代替させるだけでは、人がものづくりの根幹を忘れ、技術の発展が頭打ちになるという不安も付きまとう。人への技術伝承を加速するAI活用の姿を探る。

AI時代の技術伝承
目次
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AIって何?どういう仕組み?
Part5 AIの基礎知識
私たちの生活では、多くの場面で既にAIが活躍しています。AIに関連して「機械学習」「ディープラーニング」といった単語を耳にしたことがある方も多いでしょう。しかし、その定義や仕組みについては意外と知らないのではないでしょうか。
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「信頼できるAI」が続々登場、推定理由を説明する2つの手法
Part4 説明可能なAI
製造業にとってAI(人工知能)は欠かせない技術になりつつある。製品に組み込むことで高度な制御の自動化を実現して付加価値向上を図るだけでなく、製品の設計や生産のプロセスで活用する例が増えてきた。
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過去の技術文書からリスク抽出、設計変更の影響を類推可能に
Part3 技術編 [自然言語処理]
製造業を中心とした業務改革支援や技術人材の育成、3D-CADのコンサルティングなどを手掛けるSOLIZE(東京・千代田)は、自然言語処理の人工知能(AI)を活用した支援サービスを展開している。
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脳波でラベリング時間を9割減、確信度を算出してデータの質向上
Part3 技術編 [学習データ収集]
人工知能(AI)によって熟練者の作業を再現しようとする場合、AIに学ばせる熟練者の模範解答(学習データ)の収集が課題となる。マクニカ(横浜市)はこの課題を解決するため、人の脳の活動を見える化する「ブレインテック」に着目した。
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熟練者と同じ類似トラブル発見法、文章や単語で対処方法を検索
Part2 事例編 [DIC]
有機顔料やエンジニアリングプラスチックなどを製造販売するDIC(旧大日本インキ化学工業)は、製造現場でのトラブル発生時に熟練者と同等の対応を可能とするAIシステム「Prism」を開発。
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南部鉄器職人の思考を再現、下積み期間短縮で新市場も開拓
Part2 事例編 [タヤマスタジオ]
岩手県の伝統工芸品である南部鉄器を造るタヤマスタジオ(盛岡市)は、熟練職人の思考を再現する人工知能(AI)の開発を進めている。若手が製造にまつわる不具合の原因などを素早く学べるようになり、従来10年程度かかっていた下積み期間の短縮が期待できる。
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レクサスの稀な車内異音を発見、生産ライン上で無人検査
Part2 事例編 [トヨタ自動車九州]
トヨタ自動車九州(福岡県宮若市、以下トヨタ九州)は「レクサス」を生産する宮田工場(本社工場)で人工知能(AI)を活用した完成車の車内異音検査システムを導入し、2021年8月に稼働させた。
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AIにない創造性が人の強みに
栗原 聡 氏(慶応義塾大学理工学部管理工学科教授)
後継者不足に悩む日本の製造業で人工知能(AI)の活用が広がっている。技術伝承にAIを生かすうえでの課題、そしてAIが人の仕事を代替する時代に人間に求められる役割とは何か。
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技術伝承の救世主になるか、AIから学び、AIと働く
Part1 総論
「製造業における人工知能(AI)活用は今2周目に突入している」─。製造業を中心に20年以上コンサルティングをしてきたシグマクシス(東京・港)ディレクターの桐原慎也氏はこう語る。