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後継者不足に悩む日本の製造業で人工知能(AI)の活用が広がっている。技術伝承にAIを生かすうえでの課題、そしてAIが人の仕事を代替する時代に人間に求められる役割とは何か。慶応義塾大学理工学部管理工学科教授の栗原 聡氏に聞いた。(聞き手は岩野 恵、中山 力)

 ディープラーニングの登場により、画像認識や言葉の理解など、それまで人間にしかできないと思っていたことをAIが処理できるようになったため、近年再び注目が高まっています。現在、AIを使う一番の目的は効率化です。例えば、AIが人に代わって品質検査をする大量生産型の工場は間違いなく増えています。朝も昼も夜も休まずに動き、ミスも少なければ、こんなに良いことはありません。今後も効率化の試みは続くでしょう。

 ただ、現状を正しく捉えるとしたら「人工知能」という非常にインパクトが強い言葉が表すほど、AIは「何でもできる」わけではありません。AIは自律的に動く水準にまで至っていないのです。電卓やコンピューターといったITの延長線であり、単に計算して最適な答えを求めているに過ぎません。自分で目的を考えて動けるAIこそが、真の「人工的な知能」ではないでしょうか。