政府が2050年のカーボンニュートラル達成を宣言してから早くも1年が経過した。製造業を含むあらゆる産業が達成に向けて動き出している。しかし、あまりにも急な目標設定に対して、現場からは戸惑いの声も聞こえてくる。積み上げてきた技術や実績を無視し、理想論を振りかざすだけでは立ち行かない。脱炭素で注目の電気自動車や再生可能エネルギー、水素エネルギーについてあらためて課題を見つめ直す。

特集
EV・再エネ・水素 脱炭素への疑問
目次
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過熱する「脱炭素」に疑問符、求められる冷静な視点
Part1 総論
カーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)はどこか腹落ちしない─。こう感じる人は少なくない。日経ものづくりが実施した脱炭素への疑問に関するアンケート調査に、485件もの自由意見が寄せられた。
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脱・ガソリン車だけが正解か、「公共交通の活用が有効」の声も
Part2 EV編
「電気自動車(EV)ありきで議論が進んでいるように思う」「あたかもEVがカーボンニュートラルの切り札のように世論が操作されていないか」─。日経ものづくりが2021年12月から22年1月にかけて実施した「EV・水素・再エネなど炭素中立の疑問点に関する調査」には、回答者からこんな意見が多数寄せられた。
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国土の狭さと安定供給が課題、火力と原子力が残る理由
Part3 再エネ編
太陽光発電や風力発電をはじめとする再生可能エネルギー(再エネ)は、安全で二酸化炭素(CO2)を排出しない電力として、脱炭素には欠かせない電源とされる。
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目指すは低コストとCO2フリー、夢の次世代燃料の時代は来るか
Part4 水素編
現在ほど「カーボンニュートラル」への関心が高まる前から、水素(H2)は次世代のクリーンエネルギーとして注目されてきた。水素技術は百花繚乱(ひゃっかりょうらん)の様相を呈している。
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「EVは過半に達しない」が7割、再エネ比率目標にも懐疑的
Part5 数字で見る現場 EV・水素・再エネなど炭素中立の疑問点に関する調査
「電気自動車(EV)がガソリン車を代替する比率は過半に至らない」「2030年に再生可能エネルギーの割合を36~38%まで高める政府の目標は達成できない」と考える人がいずれも7割─。