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 「2020年度第3四半期から製品を供給しきれなくなり始めた。この時に供給できなかった製品が21年度にずれ込んだ。21年度の第1四半期はそのずれ込んだ分を製造していたが、それも下半期にずれ込んだ」。主力製品である空調機(エアコン)の出荷状況についてこう語るのは、富士通ゼネラル経営執行役 GDM推進本部長の内藤真彦氏だ。

 エアコン市場は世界的に拡大傾向にあり、同社の受注状況も好調だ。17年度から20年度まで2300億円程度で推移していたエアコンの売上高は、21年度には前年度比約20%増の2800億円を見込む。ところが、製造拠点がある中国での新型コロナウイルス感染症による都市封鎖(ロックダウン)や、海運の需給逼迫などの影響で計画通りに出荷できず、売り上げが目減りするという状況が続いていた。

 急増する需要に生産・供給態勢が追いつかない中で、部材不足が重なった。特に、エアコン室外機の制御基板に搭載するコンデンサーやコネクター、コイルなどの電子部品が不足しているという(図1)。さらに、 「20年度から21年度で、銅が7割、アルミニウムが3割、プラスチックが4割は高くなった」(同社海外営業本部 海外販売推進統括部長の酒井雄一氏)という材料価格の高騰も業績に重くのしかかった。

図1 インバーターエアコン用室外機の制御基板の一例
図1 インバーターエアコン用室外機の制御基板の一例
コンデンサーやコイル、コネクターの調達が困難になり、代替品に変更するなどして対応している。(出所:富士通ゼネラル)
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