全3212文字
PR

 「アルミ材が『在庫なし』とは予想さえしていなかった」。こう話すのは、金属加工を手掛ける極東精機製作所(東京・大田)代表取締役社長の鈴木亮介氏だ。同社はグーテンベルク(東京・大田)が発売予定の3Dプリンター(アディティブ製造装置)「G-ZERO」(図1)の開発に参画している。そのG-ZEROの量産を開始するに当たり、筐体(きょうたい)に必要なアルミニウム(Al)合金材を調達する際に直面したのが、よもやの「在庫なし」だった。

図1 3Dプリンター「G-ZERO」の外観イメージ
図1 3Dプリンター「G-ZERO」の外観イメージ
材料押出(Material EXtrusion:MEX)方式を採用。造形エリアサイズは250×210×200mm。販売価格は99万8000円(税別、初年度のサポート費用も含む)。当初2022年2月に予定していた発売時期を、アルミ材不足などが原因で同年4月に延期した。(出所:極東精機製作所)
[画像のクリックで拡大表示]

 極東精機製作所は、これまで付き合いがなかった金属材料の商社に連絡し、目的のアルミ材をなんとか調達した。危機を乗り越えたのも束の間、今度はアルミ材の加工を頼んでいた協力メーカーのスケジュール確保が難しくなってしまった。

 その結果、当初は2022年2月に予定していたG-ZEROの発売を4月に遅らせる事態となった。アルミ材の調達が遅れた結果、加工品の入手がさらに遅れるという悪循環。初期ロットの部材確保のめどはついたものの、製品出荷を継続していくためには他の部材も含めた部材調達を考え直す。