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 シミュレーション技術によって、自動車分野における炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の適用場面が広がろうとしている。豊田中央研究所(愛知県長久手市)は、炭素繊維の配向と部品形状を同時に最適化する「異方性トポロジー最適化技術」*1を開発した1)。この技術を用いて、自動車のリアウィングを支える「リアウィングピラー」を試作した(図1)。

*1 トポロジー最適化
設計空間内の材料配置を提案する技術。例えば、製品の3次元モデルに荷重条件や拘束条件を設定すると、不要な部分を削りつつも強度を確保した設計案を示してくれる。
(a)
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(b)
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図1 リアウィングピラーの試作品
異方性トポロジー最適化で設計したCFRP製のリアウィングピラー(a)とリアウィングの例(b)。(出所:aは日経ものづくり、bは日本自動車技術会)

異方性トポロジー最適化を適用

 CFRPは、アルミニウム合金やチタン合金といった金属材料と比べて、質量あたりの剛性や強度に優れている。製品の構造材として使えれば、高剛性と軽量化の両立を図れる。ただし、CFRPは炭素繊維の向きで特性が変わる異方性材料である。荷重方向と異なる向きに炭素繊維を配置してしまうと、CFRPのメリットを十分に生かし切れない。

 CFRPの異方性を補う手法としては、異なる方向で炭素繊維を編み込み、等方性材料に近づける手法もある。ただ、こうした「準等方性」のCFRPは、単軸配向*2のCFRPと比べて、密度当たりの弾性率が半分以下とされる。

*2 単軸配向
ある一方向だけに着目して材料の配置に偏りを持たせること。ここでは炭素繊維の束をそのまま使うことを意味する。

 そこで豊田中研は2015年ごろから、材料の異方性を考慮したトポロジー最適化に関する技術開発を進めてきた。CFRPを単軸配向で利用しつつ、軽量化された部品の形状を自動で提示する仕組みである。部品内で炭素繊維の方向を自由に変化させることができれば、CFRPが単軸配向であっても、異方性は弱点になりにくい。豊田中研によると、これまで部品形状と内部繊維の配向を同時に設計するのは難しかった。