3次元測定器は、測定対象の物体表面の3次元座標を測定する装置である。ノギスやマイクロメーターといった測定器では対応しづらい自由曲面や複雑な構造の形状、寸法、位置などを効率的に知ることができる。
一般に、3次元測定器には専用の操作用ソフトウエアが用意されている。検査担当者にとっては、それを使うのが手っ取り早い。しかし、所有する3次元測定器が増えてくると、操作すべきソフトの種類も増え、業務は煩雑になってくる。機種やメーカーごとに、異なるソフトを使う必要があるからだ。増え続ける測定データを管理するのも一苦労だ。
同じ画面で異なる3次元測定器の操作
そうした現場の状況に一石を投じるのが、PolyWorks Japan(東京・港)が販売する3次元測定用ソフトウエア「PolyWorks|Inspector」だ(図1)*1。3次元測定器と1:1で接続したパソコン(PC)にインストールして使う。機種ごとにプラグインが用意されており、異なる機種でも同じ画面から直接操作できる。
対応メーカーは、ミツトヨ、ニコン、スウェーデンHexagon、米FARO Technologiesなど。接触式や非接触式など、さまざまなタイプの3次元測定器で使える。2000年の発売以来、世界で3万2000ライセンスが売れた。「3次元測定器ごとにソフトウエアの使い方を覚えたり、専任の担当者を用意したりしなくて済むようになる」。PolyWorks Japan Executive Vice-Presidentの遠藤隆志氏は、同ソフトの利点をこう説明する。
PolyWorks|InspectorをPCにインストールし、3次元測定器とUSBやLANなどで接続する。測定方法の設定や測定の実行、検査の合否判定といった一連の作業を、異なる機種であっても同じ画面から操作できる。
メリットは他にもある。一般に、3次元測定器を利用するには検査対象の設計データを用意し、専用ソフトで測定点を設定したり、検査表を作成したりといった準備が必要になる*2。同ソフトでは、こうした測定に必要な設定をまとめた検査プロジェクトを、別の3次元測定器向けに変換して流用できるので、準備の手間を減らせるのだ。
さらに、検査に必要な同ソフトの実行手順をあらかじめ記録し、自動実行するマクロ機能を搭載している。このマクロは、PLC(Programmable Logic Controller)やロボットからの信号入力をきっかけとした実行も可能だ。そのため、3次元測定器を生産ラインの一部に検査工程として組み込める。